By Statkraft

日本でも山間部や海沿いなどで見かけることが多い風力発電用の風車で、羽根の長さがなんと200メートル、支柱の高さがおよそ300メートルで、最も高い地点が500メートルにもおよぶという、世界でも類を見ない巨大さを持つ風車の研究がアメリカで進められています。

SUMR - Segmented Ultralight Morphing Rotor

https://sumrwind.com/

World's Largest Wind Turbine Would Be Taller Than the Empire State Building - Scientific American

https://www.scientificamerican.com/article/world-rsquo-s-largest-wind-turbine-would-be-taller-than-the-empire-state-building/

アメリカのバージニア大学を中心とする6つの機関による共同研究アライアンスが、より高い効率を実現する発電用風車の実現を目指した研究を進めています。

風力発電用の風車の場合、羽根の数を同じとした場合には風を受けることができる円の面積が大きくなるほど発電効率が上がり、さらに風速が2倍になると発電量が4倍になるという特性があるとのこと。つまり、風力発電を行う場合は、羽根の直径をできるだけ大きく、そして風の強い場所に設置することが求められるということになります。

その原則をもとに研究が進められているのが、研究チームが開発を進めているSUMR(Segmented Ultralight Morphing Rotor:分割型・超軽量なローター)を搭載した超巨大風力発電機です。主な風力発電機の羽根の長さが50メートル程度であることが一般的ですが、開発されているのは羽根だけでも200メートルを超えるという想像を絶する大きさの風車。この巨大サイズの風力発電機を、陸地から20km程度離れて安定的に強い風が吹く洋上に設置することで、効率よく電力を生み出そうとしています。



この発電機が実現すると、1基で50メガワット級の発電力を備えることになるとみられています。風力発電は燃料などのエネルギー源を必要としないため、低コストで電力を生み出すことができる再生可能エネルギー源として期待が集まっています。

ただし、これほどまでに大きな発電機、特に長さが200メートルもある羽根が作られたことはこれまでに一度もなく、完全に未知の領域となっています。そのため、研究チームでは羽根を一体で製造するのではなく、羽根を長さ方向に3つ程度のセグメントに分離して、それぞれを合体させることで1枚の羽根を作り上げることを視野に入れているとのこと。



また、この発電機には羽根が2枚しか用いられないことになっているのですが、これは重量増を避けるための対応策とのこと。支柱の上に乗る装置、いわゆる「上もの」の重量がかさむと、それを支えるだけの強度が支柱に求められることになります。羽根の数が減ると発電効率はもちろん低下してしまうのですが、研究チームでは効率と費用のバランスを考えた結果、このサイズと羽根の枚数に行き着いた模様。

さらに、強い風が吹き付ける洋上に設置することになると、台風による強風を受けた際に強い力がかかり、発電装置全体が破壊されてしまう危険性も無視できません。そこで研究チームは、ヤシの木が風を受けたときのように羽根全体が「たわむ」ことで、強い風の力を受け流せる設計を取り入れています。このたわみは、羽根の根元を軸にして人為的に調整することができるように設計されているのですが、この技術を実現するために研究チームは、羽根と発電機の位置関係を通常とは逆にしています。つまり、風が吹いてくる方向から発電機が前、羽根を後ろというレイアウトにすることで、強い風を受けたときに羽根を折りたためる可動域を大きくしているというわけです。



研究チームはまず、2017年夏に直径2メートル程度の模型を作って検証を行い、2018年夏には直径20メートル級の模型にスケールアップしてさらに検証を進める予定。あまりに巨大な風車の計画のため、その実現には困難が待ち受けているとみられ、研究チームそのものも必ず実現できる確証はまだ持てていない模様。それでもなお、この研究を進めるのは、もし実現すると風力発電の世界に革命を起こせるという可能性を追求するためだそうです。