富士フイルムホールディングス(HD)が、傘下の富士ゼロックスによる不正会計を謝罪した。オリンパスや東芝に続き、またも日本を代表する老舗企業が悪事に手を染めた格好だ。

 富士フイルムHDの第三者委員会が6月12日に公表した調査報告書によると、不正の舞台は富士ゼロックスのニュージーランド(NZ)販売子会社。複写機などのリース契約で架空取引を繰り返し、売り上げの水増しを行っていたようだ。
 「実は不正会計の情報は富士ゼロックス幹部の耳に入っていました。2015年7月に内部告発文が同社副社長らに送られており、これを契機に調査を開始。1カ月後の同年8月には発覚していたのです。通常はこの段階で不正を公表するのですが、副社長らが中心となり『何も問題がなかった』とグループ内の報告書をでっち上げるよう隠蔽を指示しました。翌'16年にNZ販売子会社の社長が交代。新社長によって、約79億円の損失処理が必要との報告を受けたものの、副社長らが損失処理の減額など再度隠蔽工作を指示し、もみ消しを図ったのです」(富士ゼロックス関係者)

 NZ販売子会社の財務内容が公表され、複数のメディアが損失を指摘。親会社の富士フイルムに知れるところとなった。
 「国内の事務機市場はキヤノン、リコー、コニカミノルタなど同業との競合が激しい。富士ゼロックスは売り上げ史上主義を貫いており、売上高1兆円台達成を中長期の目標としていました。最近では美人の営業ウーマンを増やし、中小企業の社長をたぶらかす泣き落とし戦法を展開。『契約してもらえないと会社に帰れない』と泣きつくのです。鼻の下を伸ばした中小企業の社長は喜び、契約を了承する。すると、別の男性営業マンが契約書を持って現れるのです」(同)

 隠蔽や泣き落としなど姑息な手段をいとわない富士ゼロックスは、ブラック企業に変貌を遂げつつある。