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●“真の調味料”への道はこれから

2010年台初頭ごろ、爆発的なブームを巻き起こした調味料がある。そう「塩こうじ」だ。各メーカーは大量のCMを打ち、テレビの料理番組では塩こうじを使ったレシピが紹介され、料理とは関係ないバラエティ番組などでも取り上げられていた記憶がある。

これほど“垂直立ち上げ”的に人気が爆発した調味料は、いや食品全体をみわたしても、塩こうじ以外に思い当たらない。連日のテレビ露出に、料理をまったくしない筆者すら、「今度試してみるか……」と思わせるほどのブームだった。

ところが、数年経った現在、あれほどのブームだった塩こうじの名前をすっかり聞かなくなった。塩こうじブームの勢いはすさまじかったようで、市場規模は、ブーム全盛期と比べると1/3ぐらいの規模になっているという。人々の生活にとけこみ定着したのか、それとも忘れ去られてしまったのか……。当然、筆者も塩こうじを使った調理を試すことなく、この調味料の名前を思い出すこともなく数年を過ごした。

「ブームがひと段落して以降、ここ2年ほどでは、ジワジワと塩こうじが伸びています」と、ハナマルキ 常務 執行役員 マーケティング部長 平田伸行氏は話す。その牽引役となっているのが「液体塩こうじ」という商品だ。

基本的に塩こうじといえば、粒状だ。肉や魚に塩こうじをまぶし、数時間つけ込んでおくことにより、食材はやわらかくなり、旨味が増す。ただ、粒状の場合はその形状から、使える料理・食材が限られるほか、焦げやすいという難点もある。その点、液体ならば使用範囲が広がり、使い勝手もよくなる。

塩や醤油、味噌、お酢といった調味料が、どのように我々の生活に馴染んできたのかわからないが、塩こうじのように“一気に”というワケではないだろう。おそらく、長い年月をかけて、日本人の食生活にジワジワととけこんできたのではないか。実際、ハナマルキも、塩こうじはポテンシャルのある調味料として捉えており、定番調味料としてどんどん根づいていくだろう、と考えているようだ。

ただ、ある食品業界関係者によると、「塩こうじは爆発的にブームになったあと落ち着いた。その濃淡がかえって“ブームが去った”という印象を色濃くしてしまったのではないか。ある意味、ここからが食卓に常備される調味料となるのかの出発点だろう」と分析する。

このブームにより、塩こうじという調味料の名は知れわたった。そして、今ここからが“真に食生活に根ざす”調味料として、塩こうじが生活に馴染むためのスタートなのではないか。

●液体だからこそさまざまなメニューに応用

その点、液体の塩こうじにはアドバンテージがある。まず、粒状の塩こうじは、基本的に「まぶす」調理法しかできないが、液体の 塩こうじの場合、目玉焼きのように、手で直接触れることができない食材に液体をかけることで味付けもできる。

「液体塩こうじは、粒状の製品を使っていたカスタマーの方との意見交換からアイデアが生まれました」(平田氏)という。その意見を参考に液体の塩こうじを開発し、製品化してみると、さまざまな料理に使えることがわかってきた。

さらに、“塩こうじ=和食用の調味料”というイメージからの脱却にも“液体”という形態が功を奏し始めているという。その一例が「クレープ」だ。クレープの生地に液体塩こうじを混ぜることにより、ふっくらと焼き上げることができる。粒状では生地にとけさせることはできないが、液体ならばそれが可能だ。実際、 渋谷のクレープ店では、液体塩こうじを使った、その名も「ふっくらもちもち塩こうじクレープ」 が期間限定で販売されているそうだ 。

ここで気づいた方もいらっしゃるだろうが、クレープといえば洋食のデザートだ。塩こうじは、和食用の調味料のイメージが強いと前述したが、洋食への活用が進んでいる。これも液体化したからならではのメリットといえる。

平田氏によれば、「液体塩こうじは外国人シェフにも好評で、ミシュラン1つ星を獲得しているあるフレンチシェフが、“液体塩こうじは、白ワインの代わりになる”と 、そのホテルのメニューで使用しています」という。また、とある国内のイタリアンレストランでは、液体塩こうじを使用した「ペペロンチーノ」のレシピも存在している 。ある老舗中華料理店でも恒常的に利用されているそうだ。

業務用でも注目され始めており、コンビニやスーパーでのお総菜でも利用が進んでいる。特にコンビニ製品ともなれば、製造効率が求められるので、粒状ではなく液体のほうが、効率アップには適しているといえるだろう。

このように、発売以来、家庭料理を中心に利用されていた塩こうじだが、昨今では、“外食”“中食”市場でジワジワと浸透し、知らず知らずのうちに口にしている。平田氏は、液体塩こうじの売上について「家庭用・業務用共に伸びており、2016年6月〜2017年5月の期間で、対前年売上130%の成長と、毎年堅調に推移している」と話す。 今後さらに、“あのお店のあの味を!”と、家庭でも和食以外のさまざまなジャンルの料理にまで塩こうじの用途が広がっていけば、それこそが“ブームに左右されない生活に根ざした調味料”ということになるのだろう。