香港返還20周年を記念して習近平国家主席が29日に香港を訪問する。その直前にノーベル平和賞受賞者で獄中にいる劉暁波氏を仮釈放した。末期癌とのこと。習近平は何を怖がっているのか?中国言論弾圧の真相を追う。

習近平国家主席の香港訪問

1997年7月1日、香港が中国(大陸、北京政府)に返還された日に、江沢民元国家主席が香港を訪問して香港返還祝賀会に出席したのを皮切りに、その後5年ごとに国家主席が7月1日前に香港を訪問して返還祝賀会に出席しスピーチをおこなっている。

たとえば2002年に江沢民が、2007年と2012年に胡錦濤元国家主席が出席してスピーチをした。

今般、6月29日から習近平が香港を訪問するのは、国家主席になってから初めてのことだ。9000人の警察が警戒に当たるとのことだが、それは毎回、激しい民主化のための抗議デモが展開されるからだ。

しかし、習近平政権になってから、あまりに言論弾圧が厳しくなってきたため、香港の若者たちの意気もそがれ、今年6月4日の天安門事件の日における抗議活動は、1989年の発生以来、最小規模となってしまった。1989年当時、その8年後には香港が大陸に返還されることをすでに知らされていた香港市民は、あまりの残虐性に驚き、100万人規模の抗議デモが起きたものだ。その日から毎年ろうそくを灯した追悼集会の形を取って抗議デモが絶えたことはなかった。

しかし、習近平政権になってから急速に下火になり、今年のデモ参加者は警察発表で1万8千人、主催者発表で11万人だ。きっと実際は数万人もいなかったにちがいない。

なぜこんなことになってしまったのか。

それは2014年にあった雨傘デモという民主化運動を中国大陸側が徹底的に鎮圧したことと、その後、香港の出版関係者などが次々に拘束されたことなどが挙げられる。見せしめ刑に等しいような逮捕、拘束を当局は続けてきた。

香港では、たとえば2002年に「国家安全法」を制定しようとすることに反対した若者たちが50万人の市民を動員して抗議デモを展開し、遂に廃案にまで持っていった経験がある。また2011年には愛国主義教育を香港にも導入させようとした当局に若者たちが激しく抗議して導入を延期させることに成功している。しかし、それらはすべて習近平政権が誕生する前までのこと。

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)