お目当ての機材を新品よりも安く購入できる中古カメラ店は、プロアマを問わず、すべてのカメラユーザーの心強い味方だ。余った予算で、レンズやアクセサリーを購入したり、撮影旅行の代金にまわしたりするのもいいだろう。さらに、不要になった機材を買い取ってくれることもありがたい。この特集では、そんな中古カメラ店の上手な利用法を紹介する。

↑新品では手が出ない憧れのカメラも、中古ならリーズナブルに購入できる

 

購入の狙い目は1世代前の中・上級機

カメラ愛好家なら、毎月のように発表されるデジカメ新製品のニュースを見るたびに、物欲を刺激される人は多いはず。だが、ちょっと待ってほしい。かつてのデジカメはモデルチェンジごとに画質や機能が大きく向上していたが、最近はその進化のスピードが落ち着きつつある。ここ数年の間に発売された製品なら、写真撮影を楽しむうえで十分な高画質と高機能を備えているのだ。最新モデルが魅力的なことは確かだが、そこに飛びつくのは必ずしも得策ではない。

 

そこでおすすめしたいのが、中古カメラ店の活用だ。中古カメラといえば、銀塩時代の希少なオールドレンズやクラシックカメラを連想するかもしれないが、そんなマニアックな世界だけでなく、ほとんどの店では一般ユーザー向けのデジカメも数多く扱っている。発売から1年未満の現行モデルを、新品より安く買うことも可能だ。これを利用しない手はない。

 

なかでも狙い目は、「新製品が出た直後の、1世代前の中級機や上級機」である。取材時でいうと、例えば、キヤノンなら「EOS 5D Mark IV」が発売された後の「EOS 5D Mark III」だ。EOS 5D Mark IIIは、2012年春に発売されたフルサイズの一眼レフ。価格は発売当初で32万円以上、現在でも新品は25万円以上するが、中古なら10万円台後半から購入できる。

↑左はキヤノンのEOS 5D Mark III、右はEOS 5D Mark IV。どちらもABランクだが、10万円以上の価格差がある(※価格は取材時のもの/2017.5月上旬)

 

当然ながら、EOS 5D Mark IIIを最新モデルEOS 5D Mark IVと比較すれば、センサーやエンジン、連写などのスペックはワンランク劣る。だが、それでも画質や機能の高さは現行製品としてトップレベルを維持している。ボディの剛性やグリップ感、ファインダーの見え、シャッターの感触、レリーズタイムラグといった操作面に関しては、入門機とは一線を画する上級機ならではの快適さと安心感がある。そもそもプロや上級者をターゲットにした製品であり、道具としての信頼性が高いのだ。それを発売当初の約半額で味わえるのは、本当にお買い得である。

↑EOS 5D Mark IIIとEOS 5D Mark IVのスペックの主な違いをまとめた

 

ミラーレスカメラの場合は、一眼レフに比べると製品ライフサイクルがやや短いが、それでも「新製品が出た直後の、1世代前の中級機や上級機が狙い目」という法則は同じく当てはまる。例えば、富士フイルムなら「X-T2」発売後の「X-T1」、パナソニックなら「GH5」発売後の「GH4」といったところだ。X-T1もGH4も2014年に発売されたモデルだが、今使っても、その画質や機能は多くの人が十分満足できるレベルにある。

↑製品サイクルが短いミラーレスカメラでも、ここ数年に発売されたモデルなら、画質や機能に不満は少ないだろう

 

中古カメラはランク表記をチェックしよう

では、実際に中古カメラを買う際にはどんな点に気を付ければいいのだろうか。ここからは、プロの販売員に話を聞きながら、中古カメラを賢く買うためのチェックポイントを探っていこう。

 

今回協力いただいたのは、東京都中野区にあるカメラ専門店「フジヤカメラ」だ。同店は、創業1938年を誇るカメラ販売の老舗であり、マニアからビギナーまで幅広いお客に支持されている人気店でもある。取り扱う商品は、カメラやレンズ、写真用品の中古品および新品であり、販売のほか買い取りも行っている。

↑東京都中野区にあるカメラ専門店「フジヤカメラ」

 

中古カメラを買う際は、まず製品の状態を示す「ランク」をチェックすることからはじめよう。多くの中古カメラ店では、その店独自の基準に沿って中古カメラにランク付けをして、そのランクによって値付けを行っている。フジヤカメラの場合、ランクは以下の8段階となる。

↑フジヤカメラの中古カメラ・ランク表記

 

「当店の中古品のランクは、外観の状態によって判断しています。ランクを決める店員ごとの差をなくし、例えば同一のカメラで、ランクが同じ製品が複数あれば、そのどれを選んでも価値は同じになるように努力しています」。そう語るのはフジヤカメラ本店の販売・販促課長、北原弘明さんだ。同店では、視認による動作チェックを行ったうえで、外観の美しさ、つまりキズや塗装落ちの有無、度合いによってランクを決めている。

 

シャッター回数については一部のカメラで確認可能だが、すべてのカメラで調べることはできないため、同店では考慮していない。一般的にカメラやレンズは使えば使うほどキズやテカリ、塗装落ちが生じがちなので、外観の状態がその中古品がどれくらい使われたかを示す目安になるわけだ。ランクが上であるほど、価格は当然高くなる。欲しいカメラが決まったら、予算に応じてどのランクなら自分で納得できるかを考えよう。

↑フジヤカメラ本店の販売・販促課長、北原弘明さん。「最新モデルではなく、ひとつ前かふたつ前くらいのモデルを狙うのが賢い買い方かもしれません」

 

↑中古品のタグには、製品名と価格に加えて、ランクやキズの有無などが記されている

複数のカメラを見比べて比較検討すること

欲しいカメラと納得できるランクが決まったら、次は自分の目で実機をチェックしよう。その際に大切なのは、1台ではなく複数の製品を見比べること。「中古カメラ店に赴きながら1台だけしか見ずに購入を決めるのは、もったいないです。せっかくお店までいらしたのなら、コレとコレを見せてと店員に言っていただき、それを間近で見比べることをおすすめします。そして、自分が最も良いと思うものを選ぶべきです」(北原さん)。2台以上の比較なら、1台だけではわからなかった点に気付くこともあるだろう。

↑同じ製品が複数台ある場合は、それらをガラスケースから出してもらい、外観の状態などを比較するのがいい

 

細かいチェック点としては、ボディの底面と電源スイッチの部分を見ることもポイント。「カメラを使っていると置くことが多く、どうしても底面にキズがつきやすくなります。従って、底面にキズがあるカメラは、それだけたくさん使われたと判断できます。また、使用時は必ず電源を入れますので、電源部分の使用感も要確認です。外装のプラスチックはこすれるとツヤが出るため、電源スイッチの可動部分がピカピカになっているものは使用回数が多いと考えられます」とのこと。

↑電源スイッチ部分のツヤは、使用回数の目安となる

 

付属品の有無も確認しよう

さらに、少しでもお得に買うためには、付属品の有無もチェックしたい。フジヤカメラの場合、USBケーブルやAVケーブル、CD-ROMといった付属品が欠けていると、それによって数百円程度の値引きが行われているからだ。つまり、同じランクの同一製品で付属品ありと付属品なしの中古カメラがあった場合、自分にとって付属品が不要なら、付属品なしのほうがお買い得なのである。

 

もちろん、どんなに吟味して中古品を選んでも、購入後に故障や不具合が生じるケースはゼロとはいえない。だが、中古品にも店独自の保証期間を設けているお店なら心配は少ないだろう。フジヤカメラの場合は税込み1万800円以上の製品には半年間の保証が付く。近ごろは、ネットオークションで中古品を買うこともできるが、保証があるという点では中古カメラ店のほうが安心感は高いといえる。

↑フジヤカメラの場合は、保証期間もタグに記されている

 

▼中古カメラ購入時の7つのポイント

・新製品が発売された後の、1世代前の中上級機が狙い目

・店独自の基準による「ランク」表記を確認する

・1台ではなく2台以上のカメラを自分の目で比較する

・ボディ底面のキズの度合いを見る

・電源スイッチ部分のツヤを見る

・付属品が欠けていると、その分の値引きがされている

・中古でも保証がつくショップなら安心

 

使わなくなったカメラは安くなる前に売るといい

続いて、買い取りの際のチェックポイントを確認していこう。不要になったカメラやレンズを中古カメラ店にできるだけ高く買ってもらうにはどうするのがいいのか、引き続きフジヤカメラの北原さんに聞いてみた。「外観の状態でランクが変わりますので、普段から使用中は丁寧に扱い、外観を美しく保つことが大きなポイントです。あまり汚れていると心証が悪くなる可能性がありますので、できる範囲でホコリや汚れは除去しておいたほうがいいでしょう。また、付属品が欠けているとマイナスになりますので、忘れずに持ってきて下さい。元箱に関しては、当店の場合、あってもなくても買い取り価格に影響しません」。

 

売る時期は「使わなくなったら、なるべく早く売る」ことが鉄則だ。カメラやレンズの買い取り価格は日々変化し、特に新モデルが発売されると、その前の世代のモデルは価格が大きく下がる傾向がある。使用していない機材をタンスの肥やしにし続けるくらいなら、いっそ買い取ってもらったほうが賢明といえるだろう。

 

買い取りが可能な機材については、フジヤカメラの場合、カメラとレンズだけに限らない。「当店では、三脚やストロボ、カメラバッグなど写真に関する用品全般を幅広く取り扱っています。フィルターやフード、ケーブルレリーズといったちょっとしたアクセサリーを数百円単位で買い取ることもできますので、使わないものは全部持ってきていただければ査定いたします。当社HPには、おおまかな買い取り価格も掲載されていますので、参考にしてください。」とのことだ。

↑カメラやレンズに限らず、カメラバッグなど写真に関する用品なら幅広く買い取りや中古購入ができる

 

下取り交換を利用するとさらにお得

また、機材の買い取りと同時に別のカメラの購入を考えている場合には、買い取りではなく、下取り交換にしたほうがお得だ。下取り交換とは、買い取りの金額をほかの機材の購入代金にあてること。フジヤカメラでは、ちょうど取材時(2017.5月上旬)に査定額がアップするサービスを実施していた。買い取りだけの場合は10%アップだが、下取り交換だと15%アップになるというものだ。こうしたサービスやキャンペーンの情報は、店頭での掲示のほか、お店のサイトにも載っているので、買い取りや買い替えを検討しているときはこまめにチェックしておきたい。

↑買い取りと同時に購入するものがある場合は、下取交換となり、査定額がアップする

 

▼カメラを売るときの7つのポイント

・普段から使用中は丁寧に扱い、外観を美しく保つ

・使わなくなったら、なるべく早く売る

・ホコリや汚れはできるだけ除去する

・付属品を忘れずに揃える

・カバンや三脚なども査定する価値あり

・購入するものがある場合は、買い取りより下取りがお得

・事前にオンラインでの見積もりができる

 

以上を参考にして、自分に合った中古品を購入したり、納得できる価格で買い取ってもらったりしてほしい。中古カメラ店を上手に利用すれば、趣味としてのカメラや撮影はいっそう豊かなものになるだろう。