ドイツの首都ベルリンのイブン・ルシュド・ゲーテ・モスクで開設式の礼拝に参加するイスラム教徒の男女(2017年6月16日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】女性のイマーム(イスラム教指導者)の下で男性と女性が一緒に礼拝を行う新たなモスクが、このほどドイツの首都ベルリン(Berlin)に開設された。ここでは開放的な形態のイスラム教を広めることを使命としている。

 この新たなモスク、イブン・ルシュド・ゲーテ・モスク(Ibn-Rushd-Goethe-Mosque)では、マレーシア系米国人で世界でも数少ない女性イマームの1人、アニ・ゾネフェルト(Ani Zonneveld)師の祈りの声が響いた。

 大勢の報道陣が詰めかけた開設式では、モスク創設者の1人で女性の権利運動活動家でもある弁護士のセイラン・アテシュ(Seyran Ates)氏(54)が、「私たちはイスラム教に対する恐怖や私たちの宗教の誤用に対抗するメッセージを発信したい。私たちの教えを共に実践したい」と、招待したキリスト教徒やユダヤ教徒らを前に歓迎の辞を述べた。

 アテシュ氏はこれまでにもタブーを破り、イスラム世界における「性の革命」を訴えてきた。また超保守派に対しては「私がイスラム教徒である権利を奪うことはできない」と宣言している。

 モスク内では緑色のカーペットの上で男女が隣り合わせにひざまずき、イマームがドイツ語で唱える祈りに合わせ、聖地メッカ(Mecca)の方角へ向かって祈りをささげた。ベールやスカーフをかぶった女性もいれば、何もかぶっていない女性もいた。

 この新しいモスクは、ベルリンで88番目のモスクとなる。キリスト教プロテスタントの聖ヨハネ教会の3階を間借りしている。

 ドイツの偉大な作家ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)と、ラテン名アベロエス(Averroes)で知られる12世紀のイスラム哲学者イブン・ルシュド(Ibn Rushd)の名を冠したモスクは、スンニ(Sunni)派、シーア(Shiite)派、アラウィ(Alawite)派、スーフィー(Sufi)教などイスラム教の全宗派を受け入れている。創設者に名前を連ねている7人は、ゲイやレズビアンも含めたあらゆる社会集団に門戸を開きたいと述べている。

■イスラムの非政治化

「このモスクではイスラム教徒が自分に新しい定義を与えることができる」と、創設メンバーの1人、ドイツ人のイスラム学者アブデル・ハキム・ウルギ(Abdel-Hakim Ourghi)氏は述べる。そして、イスラム教は対立する政治運動によって引き裂かれてきたが「私たちはイスラムを非政治化したい。宗教は個人的な事柄だから」と続けた。

 脅迫や侮辱などは今のところない。しかし、このモスクを歓迎しない人たちがいることは認識しているという。建物外の入り口付近には警備のため警官が立っている。

 国内に約400万人のイスラム教徒を抱えるドイツは、イスラム過激派の標的ともなってきた。昨年12月にはベルリンで開かれていたクリスマス市にトラックが突っ込み、12人が死亡する襲撃事件があった。2015年以降、ドイツには主にイスラム諸国からの難民100万人以上がたどり着いており、一部の地元住民はこれを懸念している。

 新しいモスクは、多くの移民が暮らすベルリンのモアビット(Moabit)地区に位置し、個人的な寄付によって運営されている。同じ地区にはクリスマス市を襲撃した実行犯の1人、チュニジア人のアニス・アムリ(Anis Amri)容疑者(24)が通っていた過激主義のモスクがあったが、事件以降にここは閉鎖されている。
【翻訳編集】AFPBB News