連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第13週「ビートルズがやってくる」第73回 6月26日(月)より。 
脚本:岡田惠和 演出:田中正


73話はこんな話


ちよ子(宮原和)が中学生になって胸を熱くするみね子(有村架純)の元に、茨城に帰った正義(竜星涼)が、父・実の情報をもって駆けつけた。

大きな動きがありました


「今週大きな動きありそうな気がするんですね」
前番組の「おはよう日本」の高瀬耕造アナが「ひよっこ」について、まるで何か社会的な出来事について語るような口調で述べた。
実際、「ひよっこ」73話は、深刻な話だった。
月曜にこんなにヘヴィな話で、おまけに、後の「あさイチ」も「感情の老化」特集で、なんだか月曜日から、
気分が塞いでしまった・・・って人はいないだろうか。

正義(この人、いつも全力で走っている)が、過去の同僚から仕入れた新情報は、驚くべきものだった。
どうやら、一昨年の9月、実はひったくり犯にお金を盗まれたようなのだ。
最近になって、赤坂署に捕まった犯人の話によれば、実らしき人物は、「これは家族のためのお金なんだ」「返してくれ」と必死ですがりつき、逃げるために犯人は思い切り棒で殴りつけた。
その後、実は行方は知れない。
その頃、病院に運ばれたり、行き倒れたりした人はいないという。
けっして良い知らせではなかったが、亡くなってはいなそうだし、出稼ぎがいやになって、家族を放り出したわけではないことはわかった。

正義が実の写真を、赤坂の同僚に残してきて、それを犯人に見せて確認したのだろうか。
盗んだ給料袋に名前が書いてあったのだろうか。身分証みたいなものまで一緒に盗んだのだろうか。
いろいろ考えてしまう。

「東京の家族として」


すずふり亭の全員が、正義の話を聞き、省吾は、お礼と言って、正義に弁当をつくってもたせることにする。
みね子も手伝いたいと申し出て、ハンバーグの種をつくらせてもらう。できたお弁当はじつに豪勢なものだった。

それにしても、全員が話を聞いているなんて、ファミリー感がある。「うちの子」(省吾)、「東京の家族」(鈴子)と言い、高子(佐藤仁美)までが正義に礼を言うのだから、ほんとうに結束力が強い。
この時代、隣近所にはこういう絆が当たり前のようにあったのか。それともすずふり亭だけなのか。もっとも、みね子の父親が大変な目にあっていることがわかった以上、省吾も鈴子も、自分たちが代わりにならなくてはという気持ちは大きくなったのだろうけれど。
ヒデ(磯村勇斗)は「つらいことがあるときは、目の前のことに集中するのが一番いいと思う、おれ」と、落ち込んだみね子に助言する。

その晩、さすがに何も知らないあかね荘の住人たちは、炊事場でご飯の支度。早苗(シシド・カフカ)はみね子が帰ってくるのを見計らっていたようだが、みね子は元気がない。
そこへ、ちょうど、茨城の母親(木村佳乃)から電話が。父の話をして、思わず泣いてしまうみね子。
あかね荘の人たちはみんな心配そう。あの面倒くさい富(白石加代子)も気配を察してなにも言わない(さすが名芸妓。ひとの気持ちに敏いのだろう)。

お父さんのことはショックだし、悲しいけれど、正義、すずふり亭の人たち、あかね荘の人たちと、これだけ味方がいるのだから、かなり幸せ者ではあると思う。

早苗のおでこ様


お父さんがひどく殴られていた場面が衝撃的だった(確かな田中正演出)。家族思いのお父さんは、今、どこへ・・・
と、ちょっと寂しくなってしまったので、少しだけ楽しげな話で終わりたい。

厚めの前髪パッツンがモードぽくて素敵なシシド・カフカが、73話では、おでこ全開ヘアで調理をしている。じつは、1月期、日本テレビで放送されていた連続ドラマ「視覚探偵 日暮旅人」8話でも彼女のおでこ様を観ることができる。おそらく堤幸彦演出だと思うのだが、性格のキツそうな刑事を演じているシシド・カフカの前髪いじりの場面があるのだ。これがかなり傑作だ。Huluで配信されているので、興味をもたれた方は観てみてほしい。
(木俣冬)