激闘を終えた鈴木愛(左)と三ヶ島かな、互いの健闘をたたえ合った(撮影:福田文平)

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ツアー前半戦の最後の戦い「アース・モンダミンカップ」は最終ホールまでもつれる展開に。先にバーディパットを打った三ヶ島かなが11mをねじ込み追いついたが、鈴木愛が7mを入れ返して勝負あり。鈴木の優勝で幕を閉じた。そんな見ごたえのある戦いの深層を上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が語る。
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■平均パット数1位の鈴木愛 去年からの成長部分は“品の良いオーバー”
鈴木のスコアがトータル18アンダー、三ヶ島のスコアはトータル17アンダーと例年同様伸ばし合いとなった今大会。パターが入らない選手が次々に脱落していった。そんな中、昨年、そして今年の前半戦で平均パット数1位の鈴木愛が優勝したのはある種必然ともいえる。元々パッティングに定評のある鈴木だが、辻村氏が今年特に成長した部分として挙げるのはオーバーの仕方だ。
「鈴木さんと言えば、必ずカップまで届かせる強気なパッティングが持ち味です。それを生み出しているのが、引いてからフォローまで“心地よく加速する”パッティングです。減速して球に当たれば球の乗りが悪く、ボールに回転力がありません。心地よく加速すれば心地よい回転で転がって行ってくれます。だからカップにしっかりと届くし、去年までみたいに強く入ることもないから、50〜60cmのちょうど返しを入れやすい距離で止まってくれる“品の良いオーバー”で止まるのです。この加速することはストロークよりも大事なことだと思っています。アマチュアの方はストロークばかりに目が行きがちですが、もう一度減速していないか見直してみてください」
■名勝負を生み出したのは2人の練習量
一方の三ヶ島の長所として辻村氏が筆頭に挙げたのが練習量。今シーズンの序盤から持ち味であるパターが入らず苦しんでいたが、それでも腐らずに練習していた姿が目を引いたという。
「とにかく根性があります。パター練習しているときに中々入らなくてもずーっと同じ距離から練習していたり。練習しているときの目には“絶対上手くなる”と書いてあるように見えるんです。その練習があるから、ショットにしてもパットにしても去年より今年、開幕直後よりも今、としっかりと成長できています」
パッティング練習では凹型の鏡を用いることが多い。「頭のポジションがズレないことを意識しているのが見て取れますね。抑えようとしても構えた位置より前にズレがち。鏡を使うことでチェックしているのだと思います」。
そんな練習量が生んだ自信は今回のプレーにつながった、「最後の11mのパットも“あれだけ練習した”という強い気持ちが見て取れましたし、決まる雰囲気もあった。だから入ったんだと思います。改めてこういう選手はやっぱり上に来るんだなと思いました。結局、人と同じ練習をしていても上位にはいけないんです」。
その三ヶ島を退けた鈴木と言えば“ザ・練習の虫”。先述のパッティングはもちろんパーオン率が昨年の29位から8位まで上がったのも鍛錬の成果に他ならない。「今年の鈴木さんは本当に下半身でスイングできています。去年までは上体で振っているようなところもありましたが、今年はインパクトで左ひざが突っ張らずに余裕があり、右ひざは地面の方向に回転して入っている。まさに“地に足のついた”スイングと言えます。そのショットが武器であるパッティングをさらに引き出しています。ここまで成長できたのは、練習量があるからでしょう」。そんな2人だからこそ、最後の最後まで分からない名勝負が生まれたのだ。
■三ヶ島かなの安定したショットを生み出すアドレス
そんな三ヶ島のスイングを紐解いていくと“クセがない”のが大きな特徴だという。「前傾姿勢をしっかり取って腕をすっと真下に下ろす。足、腰、ひざがスクエアににあるオーソドックスな構え。余計な力が入っておらず、グリッププレッシャーもない。アドレスのクオリティが非常に高いですね」。
「アドレスがしっかりとしているから、スイング中に余計な動きをしなくて良い。どこかが入り過ぎてるから戻さなくてはいけない、などがないんです。だから癖のないスイングができるし、自分の距離も把握しやすい。ボールコントロールが良い選手だと思います」
もちろんまだまだ粗削りな部分もあるが、これで獲得賞金が2,100万円を突破。初シードに当確のランプを灯した。「今大会でもメディアに取り上げられていましたが、キャディを務めるお父さんのサポートも素晴らしい。お父さん自体が現場を楽しめてるから、成績が悪くても明るくて見ていて気持ちが良い。2人で掴んだ初シードだと思います。もっともっと成長して、笠りつ子さん家(父がキャディを務めている)みたいに親子でツアーを盛り上げて欲しいですね」。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子らを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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