独力でDFを剥がせるD・オリヴェイラ。この助っ人が柏の攻撃に厚みを加えている。写真:田中研治

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[J1リーグ16節]柏2-1札幌/6月25日(日)/柏
 
 一時は同点とされて引き分けムードが漂うなか、チームに勝利をもたらしたのは、途中出場のディエゴ・オリヴェイラの一発だった。
【柏 2-1 札幌PHOTO】ディエゴ・オリヴェイラの決勝弾で柏が首位キープ(26枚)
 
 64分から中川寛斗に代わってピッチに立ったD・オリヴェイラは、クリスティアーノとのコンビで2トップに入ると、狭いスペースで巧みにボールをキープして、攻撃を活性化。そして同点で迎えた88分、伊東純也のパスに抜け出して劇的な決勝点を奪った。
 
 まさに“助っ人”と呼ぶに相応しい活躍を見せた殊勲のブラジル人FWは、「前線でもっと機動的にアタッキングサードでボールを受けるようにという指示があった。結果的に自分が得点を決めることができて非常に良かった」と振り返った。
 
 チームとして途中出場のD・オリヴェイラを活かそうと攻撃の仕方を変えたことも、この得点を生んだ要因のひとつだろう。
 
 ボランチの手塚康平は「(中川)寛斗くんとは違って相手DFの間に顔を出すより、背後に抜け出したり(相手と)五分五分のボールをキープすることが巧いタイプ。なので、(札幌戦では)あえて五分五分のボールを入れたりとかは意識しました。ディエゴに仕掛けさせるようなボールを増やしたことで、良いチャンスが生まれた」と言う。
 
 こうした攻撃の幅が、今後の柏にとって必要になってくるはずだ。
 
 現在、柏のリーグ戦でのベースシステムは4-2-3-1。トップ下の中川を経由しながら素早い連係でサイドを崩すアタックと、ハイプレスからのショートカウンターが基本スタイルだ。ここまではその戦術がはまり、7節の神戸戦からリーグ戦10試合無敗。15節の甲府戦で引き分けたものの、今季のリーグ戦全34試合中16節が終了した時点で首位に立っている。
 
 とはいえ、好調とあれば当然相手から対策されることになる。結果が出ている以上、戦術を大きく変える必要はないが、サイドアタックやショートカウンターが通用しなくなった時の次善策は用意しておきたい。
 
 そこで重要になるのが、D・オリヴェイラの「個の力」だ。下平隆宏監督が試合後、「疲労というより得点を意識しての交代。前節の甲府戦ではディエゴが入ったことで(攻撃が)活性化して、チャンスも増えました。そういったところを、(札幌戦でも)かなり期待していました」と起用の意図を話したように、昨季12得点を挙げているだけあって、この助っ人を投入することで、強引さは確実に増す。
 
 キャプテンの大谷も、「甲府戦でもディエゴがひとりでこじ開けていくような場面もありました。守備に人数をかけてくるチームに対しては、DFひとりを剥がせるような個人のパワーが必要。そこで彼は存在感を出してくれる。DFを背負っていても反転できる強さがあるので、今までサイドに偏っていた攻撃の形だけでなく、ディエゴを使って中央から攻めることもできる」と、その重要性を口にする。
 
 リーグ制覇を新たな目標に掲げる柏が、相手の包囲網を破れるか――。D・オリヴェイラという切り札がそのためのキーマンとなりそうだ。
 
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)