ギークの父はギーク…ではなく高齢

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少し変わっているが高い集中力や優れた技能を持ち、コンピューターや理工分野に深い造詣を持ついわゆる「技術オタク」のことを欧米では「Geek(ギーク)」という。

そんなギークな息子が生まれやすい父親の条件があったとする英キングス・カレッジ・ロンドンの調査結果が2017年6月20日、英科学誌ネイチャー系列のオンライン学術誌「Translational Psychiatry」に発表した。

一体どんな特殊な条件なのか。やはり父親もギークなのかと思いきや意外な答えを研究者らは挙げている。

チューリングの父は39、エジソンの父は43

調査に先立ってキングス・カレッジ・ロンドンの研究者は「ギーク指数(Geek Index)」という指標を作成している。これは非言語IQ(言語能力やリスニング能力、理解力テストなどでは測れない知性)や興味を持ちやすい分野、社会との関わり方などをアンケートで分析しギークかどうかを判定する指標だ。

このギーク指数評価を、人間の成長における変化を追跡するため1994年から1万5000人の双子を対象に実施されている「Twins Early Development Study (TEDS)」という調査に組み込み、双子たちが12歳の時のギーク指数を測定。さらに、父親に「息子はギークだと思われるか」「どのようなことに関心を持っているか」といった確認も行い、双子たちの学校での成績や、社会人になってからのキャリアなども調査している。

その結果、ギーク指数が高くギークであると判定され、科学や工学、数学などの分野で優れた業績を残している子どもの父親に共通する条件として「高齢」であることが確認されたのだ。年齢が高いほどギーク指数は高く、父親の社会的地位や経済状況、仕事など子どもに影響を与えると考えられる条件をすべて均一に調整しても、その傾向は変わらないという。

ただし、関係しているのは「父親の年齢」と「息子のギーク指数」で、母親の年齢と関係は見られず、娘のギーク指数にも影響は与えていない。

著名なギークが生まれたときの父親の年齢を調べてみると、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツやフェイスブックを立ち上げたマーク・ザッカーバーグは30歳、インターネットを考案したティム・バーナーズ=リーは34歳、チューリングマシンを考案した数学者アラン・チューリングは39歳、発明王のエジソンは43歳という結果だった。

あくまでも傾向を示すもので、ギークの父親が必ず高齢であることを意味するわけではないが、年齢が高めであるようには感じられる。

なぜ年齢が影響しているのか

ところで、なぜ父親の年齢が上がると子どもはギークになるのだろうか。研究者らは環境要因も含めて様々な理由を推測している。

まず考えられるのは高齢であるほど若い父親よりも社会的・経済的に優位にあり、子どもに対してより豊かな教育環境や興味のあることに没頭できる環境を与えられる可能性だ。他にも高齢の父親は息子の変わった特性に理解を示しやすく、「普通」であるよう矯正しないのではないかといった理由も挙げられている。

ただし、今回の調査結果から「ギークな息子が欲しい人は高齢になって子どもを作ろう」という話にはならない。以前から父親が高齢だと子どもが自閉症や統合失調症を発症するリスクが高くなることが指摘されているのだ。

筆頭筆者であるマグダレーナ・ヤネッカ博士は「自閉症患者特有の遺伝子は高いIQと関連していることを示す研究もある」とし、

「高齢の父親から生まれた息子は学校で優れた成績を残し、優秀な研究者、技術者となる可能性は高いかもしれませんが、だからといって意図的に高齢になって子どもを作るような家族計画は高リスクであり、まったく推奨できません」

とコメントしている。