北米で登場した新型カムリ(トヨタ自動車の発表資料より)

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 かつてトヨタのマークIIとマークXシリーズは売れっ子だった。月間販売台数で2万台に迫るベストセラーだ。それはチェイサー・クレスタなど兄弟車を加えて、販社総がかりで販売されていたし、車種も少ない時代で、注文が人気車種に集中することが主な原因だった。

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 そこでニーズに沿った、きめ細かな車種構成を作り上げていくうちに、膨大な種類を生産せねばならず、リーマンショックで減産に追い込まれてみると、固定費が下がらず赤字に追い込まれることになった。

 対策として「平準化で、減産でも固定費を下げる」と考え出されたのが、世界戦略TNGAだ。順次トヨタ全車種に採用されていく。7月10日発売の新型カムリは適合3車種目となる。

■共通プラットフォームで平準化

 北米では既に新型カムリが発売になっている。世界的なSUVの伸びでセダンは衰退しているが、カムリは堅調に推移してきた。それでも10%以上の販売の落ち込みに見舞われ、てこ入れを行う狙いだ。カムリは従来「安全パイ」とのユーザーの評価だが、今度はスポーツマインドを押し出してきた。新型カムリはトヨタの看板であるハイブリッドで燃費性能も上げてきた。

 何より3車種目のTNGA適合車として、プリウス・C-HRと共通プラットフォームを使用してきている。これは、平準化でコスト低減を図り、より柔軟な決算体質を作り上げるなど、トヨタが社運を賭けた世界戦略だ。

■平準化によるコストダウンは、国運を賭けた戦い

 平準化は、平均した生産台数にしてコスト・資金量低減をもたらす。製造現場の車種ごと専用ラインでは、車種ごとの販売台数の変化で生産量が変化する。その時、コストは最大生産量に引っ張られ、減産しても固定費が落としにくい。減産、増産する車種もあり、車種を混合して同じ生産ラインに乗せると、互いに補完し合って無駄なコストを生まない。

 そのため共通部品を多くして、同じ車種として生産できる体制を作り出す狙だ。マツダ・スカイアクティブ・テクノロジー、スバル・グロバル・プラットフォームの動きも同じ狙いだ。この分野では、建設車両のコマツが、かなり先行している。車種ごとの生産台数の少ない建設車両では効果が大きい。特に総資金量が減る見込みがある。

 この多種少量生産方式の元祖「トヨタ看板方式」は戦後日本の高度経済成長のエンジンとなったと見られる。トヨタ方式の資金効率を恐れた西欧諸国は、IoTを使ったシステムで主導権を取り戻そうと、国運を賭けて戦いを挑んでいる。

■強化された共通プラットホームによるユーザーのメリット

 かなり剛性の上がったTNGA適合の共通プラットフォームは、サスペンションセッティングに大幅に余裕をあたえた。結果、操縦安定性に大きく貢献している。新型カムリも最先端にある。

 プリウスに試乗すると、サスペンションが良く動き、挙動が安定している。E-Four(電動式4輪駆動)は雪道の安全性を確保するばかりか、悪路でも効果を発揮する。中国市場の悪路対策にも対応できる優れモノだ。

■国内ではマークXとカムリの統合

 おそらくは国内ではマークXとカムリが何らかの形で統合され、マークXが廃止とされるだろう。グローバル競争の中で、マークXの消滅は致し方がないことだ。国内でもSUVが台頭する中、初代マークIIから乗ってきたユーザーたちに満足のいく対応が課題になるのだろう。