拡張現実・仮想現実どっちもいける欲張りスマホ「ZenFone AR」自腹レビュー!
4月13日に発表されたAR&VR両対応スマホ「ZenFone AR」が6月13日より販売開始されました。本製品は、AR(拡張現実)技術の「Tango」および、VR(仮想現実)技術「Daydream」に対応したAndroidスマホ。1台で両技術に触れてみたい方には絶好の端末です。筆者はすでにASUSから長期借用し、他メディアでレビューなどを書いていますが、結局自腹購入しました。というわけで今回は、本製品の自腹レビューをお届けいたします。本製品の付属品は非常に充実しています。USB充電器、マイクロUSBケーブルは当然のことながら、液晶保護ガラス、クリアケース、ハイレゾ対応イヤフォン「ZenEar」、そして簡易VRゴーグルまで付属します。ZenFone ARを購入してから、別途アクセサリーを入手する必要はありません。

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同梱品一覧。左から本体、クリアケース、液晶保護ガラス、ハイレゾ対応イヤフォン「ZenEar」、USB充電器、マイクロUSBケーブル、簡易VRゴーグル、簡易VRゴーグル用レンズ

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ハイレゾ対応イヤフォン「ZenEar」は携帯用ケースに収められています

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簡易VRゴーグルはパッケージに組み込まれています

AR技術「Tango」に対応させるためには、深度カメラ(赤外線カメラ)、モーションカメラ、RGBカメラの3つが必要です。そのため世界で最初にコンシューマー向けに発売されたTango対応スマホ「PHAB2 Pro」は88.57×179.83×10.7mmと厚みがかなりあったのですが、ZenFone ARは77.7×158.98×8.95mmと一般的なスマートフォンと変わらない薄さに仕上げられています。

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カメラ部がちょっと盛り上がっていますが、背面は滑らかなカーブを描いており、手の収まりも良好です

Tango&Daydream対応スマホと言っても「TriCamera System」と名づけられた深度カメラ(赤外線カメラ)、モーションカメラ、RGBカメラ以外は、外観は一般的なスマホと変わりありません。

本体前面には5.7インチSuper AMOLEDディスプレー(2560×1440ドット)、800万画素フロントカメラ、指紋認証センサー内蔵物理ホームボタン、背面には深度カメラ(赤外線カメラ)、モーションカメラ、RGBカメラ(2300万画素)、右側面にはボリュームボタンと電源ボタン、左側面にはSIMカード/microSDカードトレイ、上部にはマイク、下部にはイヤフォンジャック、マイク、USB Type-C端子、スピーカーが配置されています。

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前面

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背面

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右側面

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左側面

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上面

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底面

外観で特に注目すべきは5.7インチSuper AMOLED(2560×1440ドット)ディスプレーと、2300万画素リアカメラ&800万画素フロントカメラ。Tango&Daydream対応スマホとして活用するだけでなく、普段使いのスマホとしても高解像度、高画質を楽しめるわけです。


ZenFone ARの2300万画素リアカメラで撮影。いやあ綺麗ですね!


ZenFone ARの800万画素フロントカメラで撮影。いやあ綺麗ですか? ブラクラ画像とお怒りの方もいらっしゃるでしょうが、自宅でひとり寂しく仕事しているライター(男)に、インカメラ用の適当な被写体は自分しかいないのでお許しください。ホント、スイマセン。来世はJKに生まれ変わります

まあ冗談は顔だけにしておきますが、ZenFone ARの2300万画素リアカメラは解像感が非常に高く、ピントも正確。800万画素フロントカメラは見苦しいワタシの顔を人並みに引き上げてくれます。

スマホのレビューの恒例行事と言えばベンチマークです。個人的には、現在のスマホ用OSやアプリは幅広い端末に対応するため軽量に作られているため、少なくとも「Snapdragon」の800番台を載せていればベンチマークを実施するまでもないと考えておりますが、定番の「AnTuTu Benchmark」、「Geekbench 4」、「3DMark」を実施してみました。下記がその結果です。比較対象機種としては「Galaxy S8+」を使用しています。

AnTuTu BenchmarkZenFone AR159922Galaxy S8+160466
Geekbench4 Single-Core ScoreZenFone AR1790Galaxy S8+1801
Geekbench4 Multi-Core ScoreZenFone AR4385Galaxy S8+6113
Geekbench4 ComputeZenFone AR7601Galaxy S8+7451
3DMark Sling Shot ExtremeZenFone AR2671Galaxy S8+3346

ZenFone ARは「Snapdragon 821」、Galaxy S8+は「Snapdragon 835」を搭載しています。Geekbench4 Multi-Core Scoreと3DMark Sling Shot Extremeでは大差がつけられていますが、それ以外は予想を裏切って接戦です。筆者の周りではZenFone ARがSnapdragon 835を搭載しなかったことに落胆の声が聞かれましたが、今回のスコアを見る限りキリンが背比べしているようなもんだと思います。

さて、それでは本題に入りましょう。まずはTangoから。ZenFone ARにはTangoアプリケーションがプリインストールされており、おすすめTango対応アプリケーションをすぐに試せます。今回はそれ以外のアプリで筆者が特に気に入った新しめのARアプリ「HoloPaint」をご紹介します。

HoloPaintは拡張現実の世界で絵を描けるペイントアプリです。周囲の物体を認識するので、天井、壁、床、机の上などに自由に絵を描けます。


物体の表面を認識すると絵筆が表示されます。その状態で右下のボタンを押せば、その物体の表面に線を描けます


天井や壁に描いた絵は位置情報を備えているので、端末とともに場所を移動してもその場に留まっています

HoloPaintは非常に楽しいアプリなのですが、絵を描く、そしてそれを写真に撮る機能しか搭載されていないので、現時点ではエンターテイメントアプリにすぎません。HoloPaintで描いたイラストなどをユーザー同士で共有できれば、オフィスや自宅などですべての天井、床、壁をホワイトボードとして利用できるので、応用範囲が広がりそうですね。オヤツのありかを拡張現実内にヒントを描いて宝探しゲームと洒落込んだら、なかなか盛り上がるのではないでしょうか?

現時点ではTango対応アプリのラインナップは物足りないというのが正直なところ。2017年度内に130本のTango対応アプリがリリースされる予定なので、下記のオススメアプリをインストールして対応アプリの充実をのんびりとお待ちください。


「Matterport Scenes」。空間や物体をスキャニングできるキャプチャーソフト。スキャンした部屋やフィギュアなどを見るだけでも楽しいですが、あとから寸法も計測できるので、家具などを購入する際のシミュレーションにも役立ちます


「BMW I Visualiser」。BMWのi3、i8を実寸大で表示できるARアプリ。自宅の駐車場に置いたらどのような佇まいになるか拡張現実で確認できます。車の中に入ってインテリアをチェックすることも可能です


「Domino World」。ご覧の通りのドミノゲーム。実際の空間に巨大なドミノを線を描くように配置できます。作ったドミノは保存できますし、もちろん何回でも崩せます。大作ドミノを実際に作成する前の予行練習に最適です

つぎはDaydreamの魅力についてぞんぶんにお話ししたかったのですが、実は現時点では課題が多いです。まず現在、ZenFone ARでDaydreamを利用するために必須のVRヘッドセット「Daydream View」は日本国内で正式に発売されていません。2016年12月1日にグーグルの日本法人で開催された記者説明会でDaydream Viewの体験会が実施されていますが、現時点でいつ発売されるのかグーグルからアナウンスはありません。

また、これは日本で正式に発売されていないから当たり前かもしれませんが、Daydreamのホーム画面のオススメ枠にはなにも表示されませんし、「Google Playムービー&TV」も「PlayムービーのVR機能は現在、お住まいの国ではご利用いただけません」と表示されてしまいます。なんかもう、頑張ってTangoとDaydreamに対応したZenFone ARをリリースしたASUSがかわいそうすぎます。

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VRヘッドセット「Daydream View」は日本国内で正式に発売されていません


本来Daydreamのオススメアプリが掲載されるスペースには、6月26日時点でなにも表示されていません


「Google Playムービー&TV」ではこのような表示が。せめて非VRコンテンツだけでも観られると、電車の中での映画鑑賞が捗るのですが残念です

なお個人的には「DMM VR動画プレイヤー」がリリースされていないのが、血の涙が出そうになるぐらい残念です。

とは言えアプリ61本、ゲーム100本がすでにリリースされており、「Daydream View」さえ入手できれば数多くのVRコンテンツを楽しめます。同梱の簡易VRゴーグルや、サードパーティー製VRゴーグルでしばらくはガマンして、「Daydream View」が正式に発売されるのを待ちましょう。


もちろんモーションコントローラーに対応したゲームタイトルもリリースされています

TangoとDaydreamを両方体験できる欲張り端末でありながら、サイズ/重量、パフォーマンス、ディスプレー&カメラ画質に優れ、日常使いできるZenFone AR。デキがよいからこそ、「Daydream View」の発売が遅れているのが悔しくてなりません。

IT業界の巨人であるグーグル様におかれましては、自社の規格に賛同して製品を発売した協力メーカー(ルビはナカマ)を優しくサポートしてあげてほしいと切に願います。