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 中国では環境汚染が激しく、補助金を出してEV(電気自動車)の普及を進めている。中国の「にわかEV製造」が問題を起こしている中で米テスラ・モーターズは25%のコストダウンを果たすことが出来る現地生産を選んだ。

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■赤字続きの現状

 テスラの2016年決算収益は、7億7,304万ドル(約872億円)の赤字。2015年の8億8,866万ドルからは赤字幅を縮小しているが、2017年には黒字化が出来るのか?大変疑問。赤字続きでありながら、時価総額が一時はGMを上回る展開を見せた。それは「期待値」であり、アメリカのベンチャーが育つ環境を現してもいる。投資の醍醐味でもあるのであろうか?それでも長続きはしないものと考えられている。

 そんな中でテスラは一刻でも早く生産台数を増やしたいのが本音。しかも小型で安い車種を大量に生産することが中国ではできるのだ。

 テスラは株式市場で一時、時価総額でGMを上回って以降、株価は下がり続けており、業績の回復は急務である。その中で中国のEV市場は大変魅力的なもので、トランプ政権の国内生産を進める姿勢に真っ向から逆らうこととなっても進出する価値は大きい。

■日本企業の動向

 さて、アメリカの燃費規制でHV(ハイブリッド車)を省燃費車とも見なさない規制が進んでいる。ヨーロッパではPHVに対して特別の配慮をして、事実上HV車を締め出す政策が決定している。

 自動車産業は各国の国運を賭けての争いになっている。

 現在、トヨタのHVの効率の良さから対抗する技術がないため、各国はHVをパスしてEVに進もうとしている。中国は自動車産業が育っていないので、部品点数が激減するEVに進むことに抵抗がなく、部品点数が激減するためTNGAのような高度な生産技術がなくとも車を製造できる、今が、願ってもない機会である。

 トヨタや日産、GM、フォードと言った既成の自動車メーカーにとって、部品点数が激減するEVへの移行は企業の存続自体を脅かす存在でもある。高度な生産技術がなくても、そこそこの製品を作り出せるとなると、中国企業が生産販売を軌道に乗せるのもたやすいのだ。中国政府が現在推し進めている国内企業の育成策で、海外勢が独自に中国のEV市場に参入するのは、合弁の縛りがなくなっても価格面で困難だ。

 しかし、中国の市場はこれから伸びて行くのであり、助成金制度の動向を見定めて、日本企業も新規市場と見てEVに一気に参入することが必要であろう。トヨタはHVで現在成功を収めている。この成功体験がEVのような先進技術への移行を遅らせてしまうのが歴史の示すところ。

■EVは自動車産業を家電産業に替えるのか?

 日本企業には出来るだけ早いEV市場への参加を促したいところだが、部品点数が激減するEVの普及は、トヨタなどの既成の自動車メーカーの存続を脅かすかもしれない。それが中国政府のトヨタなどを駆逐して、世界のトップを取ろうとする自動車産業政策でもある。

 EVしか生き残れない時代が10年後にはやってくる可能性が高いと見える。ついに恐れていた、部品点数激減による自動車産業の構造不況業種転落の事態が近づいたのかもしれない。自動車産業は技術的にも家電産業とみなすべきなのか?