在庫の検索性において、インターネット書店に大きく水を開けられている実体書店だが、巻き返しへの道を探ろうとしている。

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 出版取次大手の日販(日本出版販売)は、2017年7月末までに、日本各地の書店から出版社の在庫を調べることのできるシステムを開発する。書店店頭や日販に在庫がなくとも、出版社が在庫を持っていれば消費者からの注文を受け付けられるようになる。出版社各社に導入を呼び掛けて、インターネット書店に対抗しようとする形だ。

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 現状では、消費者が書店店頭において目当ての書籍を見つけられなかった場合、書店は、系列の店舗や日販の在庫までしか照会することができない。現実問題として日販が在庫している出版物は売れ筋商品を中心に全体の7から8割ほどにはなるが、販売頻度が低いが発売から長期間を過ぎても需要がなくならない、いわゆる「ロングテール商品」の在庫などは日販にも少ない。

 日販が構築しようとしているシステムは、同社を軸として書店、出版社をネットワークで結ぶものである。出版社は在庫情報を日販に提供する形となる。

 7月末にシステムの大枠は完成し、まず大手など数社が利用を開始するという。その後のシステムの拡充のためには、各出版社に導入を呼び掛けていかなければならない。

 今の時点ではまだ、出版物の流通において最も大きなウェートを占めているのは取次を介してのルートである。ただし、取次会社を介した書籍の流通量は減少の一途を辿っており、その代わりに存在感を増しているのは、近年取次を飛び越えての出版社との直接取引の話なども出てきているアマゾンを筆頭とする、インターネット書籍店だ。

 取次の重要な役割のひとつに「返本制度」がある。出版物の多くは、売れなければ書店から出版社に返本することができる「委託制度」をとっている。書店は、過剰仕入れのリスクなどを負わなくて済む。それが、日本のここ数十年の出版の在り方であった。

 しかし、実体店舗の市場規模は縮小の一途にあり、返本制度は今や取次会社に重くのしかかる負担となっている。大手さえも含めて、書店の数は減少を続けている。

 大手取次を中心とした旧来の出版システムは、今後どうなっていくのであろうか。