Jリーグ第16節、サガン鳥栖の本拠地に乗り込んだ浦和レッズは、2-1とあえなく敗れている。これでリーグ戦3連敗。順位は9位に転落した。


サガン鳥栖に2-1で敗れ、天をあおぐ李忠成(浦和レッズ)「ヨーロッパだったら、浦和のようなビッグクラブが3連敗した場合、『監督交代』に関しての質問がある。皆さんは遠慮されているのだろう。浦和はサポーターも多く、期待されているだけに、結果に関しての責任は全て私にある」

 試合後の記者会見で、浦和の指揮官ミハイロ・ペトロビッチは自嘲気味に語った。

 もっとも、解任の気配は立ち上っていない。その理由は、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)で準々決勝に進出していることがあるだろう。また、年間勝ち点1位だった昨シーズンも、6月はリーグ戦3連敗を経験。ACLの消耗が国内リーグに出ている、という点では情状酌量の余地がある。

「コンディションの問題があった」

 ペトロビッチ監督も過去の試合、しばしばマネジメントの難しさを口にしてきた。

 しかし、それにしても今シーズンの浦和は安定感を欠いている。6-1、7-0という大勝した試合がある一方、3-3という大味な試合を演じ、完封した試合は16試合中たった2試合。優勝争いを考えると、緊急事態に近い。

「非常ベルが鳴っている」(ペトロビッチ監督)

 その表現は大げさではない。

 6月25日、ベストアメニティスタジアム。浦和は悪くない立ち上がりを見せている。右ワイドの駒井善成が渦の中心になって、積極的に突っかけ、守備の壁を打ち破ろうとした。その混乱に乗じ、ラファエル・シルバ、柏木陽介らが際どいシュートを放っている。

 しかし、守備に粘りがない。ロングボールからのダイレクトパスで手数をかけずに崩され、ビクトル・イバルボに2度もゴール前に迫られてしまう。

「守備に脆さがあった。細いところが雑になっている気がした」

 鳥栖の選手たちから洩れてきた浦和の印象は興味深い。例えばヘディングを競り合った後のポジションがずれ、準備が疎かだった。傲慢さではないが、「王者」としての自負がスキになっているというのか。

「浦和は強く、形を持っているチーム。我々は限界まで出し切れて勝てるかどうか、まずそこを突き詰めた。とにかくしっかり走り、ぶつかるべきところはぶつかった」(サガン鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督)

 勝負に対する謙虚さは対照的だった。後半に入った65分、鳥栖は右CKに小野裕二が頭で合わせた。小野は足をつりながらも、基本に忠実にゴール前でマーカーより一歩だけ前に出ていた。

「チャンスを作りながら、先に決められずに失点することは、サッカーではよくあること」

 ペトロビッチ監督はそう、状況を振り返っている。

「小さなミスが出ている。例えば前半に柏木から武藤(雄樹)にパスが出て、折り返しが大きくなって(ゴール前を)通過してしまったシーンがあった。本来なら少なくともシュートに持ち込んでいたが、なぜかチャンスに結びつけられない。他にもそういうシーンはいくつかあった」

 プレーの回路は整然と働いているが、その精度が落ちているということか。リーグ戦16試合で22失点。決定力の不調が守備の乱調を引き起こしている、とも言える。

 結果的に勝負を決した90分の福田晃斗のゴールは、DFラインの緩慢なパス交換から生まれている。距離感が近すぎ、預けるだけのバックパスが遠藤航に入る。判断が鈍ったところを後ろから突かれ、かっさらわれ、カウンター一発に沈んだ。

 まさに自滅だった。アディショナルタイムにハイキックでPKを得て、李忠成が1点を返したが、一矢を報いたに過ぎない。

「5回は決定機があったが、(PK以外)決められなかった。今は得点の確率が低く、たくさんのチャンスを必要としている。また、ミスからの失点も多い」

 そう締めくくったペトロビッチ体制は、6年目を迎えている。

 プレーモデルは確立されて久しいが、それを運用する選手たちは顔ぶれもさほど変わらない。3-4-2-1を基本布陣に、攻撃ではボランチのどちらかが最終ラインに入り、サイドに人をかけ、押し出す。システムが独特なことが、戦力が入れ替わりづらい理由だろう。今シーズン補強した選手で、鳥栖戦の先発はラファエル・シルバのみ(鳥栖は5人が新加入選手)。戦い方は研究されるし、停滞は避けられない。

 ペトロビッチ体制は限界なのか?

 そうと決めつけるのは暴論だろう。システムの細部の齟齬(そご)はどのクラブでも起きる。システムをいじるよりも、中にいる人の位置を変える、それぞれの立ち位置や準備の部分を徹底する、そうした微調整が小さなミスを減らす。長いシーズンを戦う上で必要なのは、メンテナンスだ。シーズン後には改革があったとしても不思議はないが――。

「自分たちでしか(この状況は)変えられない」

 主将である阿部勇樹は下を見ずに語って、ミックスゾーンを後にした。

■Jリーグ 記事一覧>>