今も両膝のテーピングは取れないが、ピッチに立てば熟練のディフェンステクニックで横浜の堅守を支えている。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ16節]横浜2-0神戸/6月25日/日産スタジアム
 
 J1の通算出場試合数は歴代2位の553試合。1位の座は631試合の楢粼正剛(名古屋)に譲るも、フィールドプレーヤーとしては文句なしのトップである。
 
 さらに、迎えた今季の16節・神戸戦では、これもフィールドプレーヤーに限定してだが、連続フル出場で浦和の阿部勇樹と並ぶ歴代1位タイの139試合に到達(最多は鹿島のGK曽ケ端準の244試合)。39歳にして、中澤佑二の歩みはとどまることを知らない。
 
 もっとも、本人は記録について、「なんとも言えないですね」とあまり関心を示さない。「今年1年、振り返った時に、そういったものが話題になればいい」と、あくまでも通過点として捉えている。
 
 一つひとつの積み重ねが、結果的にこの偉大な数字をカウントしたに過ぎない。なによりも、CBとして90分間、ピッチに立ち続けることには強いこだわりがある。
 
「DF、特に4バックにGKを含めて、そこで交代枠を一枚、使ってはいけないと僕は思っている。足も攣ってはいけないし、無謀なディフェンスで怪我をして交代するとかは、絶対に避けたい。
 
 ポリシーというわけではないけど、DFは基本的には90分間、走り続ける体力を持っていなければいけない。どんな相手に対しても」
 
 改めて言うまでもないが、ただフル出場しているわけではない。ハイレベルな守備技術に衰えはなく、敵のアタッカーとの局面の勝負では貫禄あるプレーで抑え込んでみせる。
 
「とにかく勝つためには一生懸命にやらなければいけないし、自分のところでやられるのは、DFとして嫌なので。やらせたくないし、他の選手がやられればカバーしてあげたい。自分がピッチに立っている意味は、そういうところだと思う。
 
 今までの経験とかで立つのではなく、しっかりと自分のパフォーマンスを90分間、出し続けるのが大事」
 
 アベレージの高いパフォーマンスを維持するために、日々の努力を惜しまない。その舞台裏について聞けば、「練習していないです(笑)」とジョークを飛ばす。
 
 ただ、それはある意味、真実でもあった。

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 長いプロ生活を経て、当たり前だが、その肉体は若い頃と同じではない。
 
「あちこち痛くて、“練習ができていない”、というのが正確なところですけどね」
 
 チームとして居残り練習が制限されている事情もあるが、以前は通常メニューの後に「ガンガン走ったり、ボールを蹴っていた」が、今はそれが十分にできていない。
 
 それだけに一抹の不安はある。とはいえ、無理をすれば痛みを感じることもある。
 
「だから、控えめに、身体と相談しながらやっている」
 
 それが今は上手くいっているが、安心はしていない。7月には、天皇杯を挟んでリーグの中断期間があり、「もう一度、そこでコンディションを上げなければいけない」。その時期のトレーニングをいかにこなすかを思案中だ。
 
 ピッチの上で最高のパフォーマンスを見せるために、その準備に100パーセントの力を注ぐ。新記録がかかる次節のアウェー大宮戦に向けても、やるべきことに変わりはない。
 
 ギリギリのところで勝負しているのだろう。それでも、どんなに苦しくても、中澤は戦い続けることをやめない。不撓不屈の精神で、次の勝利を目指すだけだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)