ホンダの新型シビックは、7月下旬の発売を予定しており、先行情報はWeb上で公開された。(本田技研工業の発表資料より)

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 ホンダ・新型シビック・タイプRが「僕にも運転できるタイプR」になって帰ってきた。スポーツ走行で必須テクニックであった「ダブルクラッチ」が不要になった。シフトダウン(例えば4速→3速など)の際、ギアを抜くときに1回クラッチを踏む。ギアを入れる前にいったんクラッチを繋いでエンジン側のギアの回転数を上げ、再びクラッチを切って、ギアを入れる。車輪側のギアとエンジン側のギアの回転数が合って、ギアが入りやすくなる。これを「レブマッチシステム」が行ってくれる。ヒール&トゥを必要としない。

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■宗一郎の魂、ホンダストーリー・シビックCVCC

 ホンダ・シビックがモデルチェンジされる。10代目となるホンダストーリー魂の車だ。1970年12月にアメリカ・マスキー法(排気ガス規制法)が施行されたが、世界中の自動車会社が反対する中、1番にクリアして見せたのがホンダ・シビックCVCCエンジンだった。現代の排気ガス規制の先陣を切った本田宗一郎の魂である。

 当時「ビック3」と呼ばれたGM、フォード、クライスラーに、トヨタ、日産などの日本勢もこぞってマスキー法に実現不可能と反対していた。裏では、排気ガス浄化に使う触媒の材料確保に各社はしのぎを削っていたのだが、本田宗一郎は違った。

 「ケツ拭きになるな!」と技術者を叱咤しながら、自らリーンバーン(希薄燃焼)させるアイディアを出し続けていた。現在では触媒による排気ガス浄化は当然となり意識されなくなっているが、宗一郎はCVCCのアイディアを出して、希薄なガソリン混合気で燃焼させようとしていた。

 宗一郎は設計図が書けなかった。朝、現場に現れると板の端などに自分のアイディアをスケッチ、技術者たちが、その日のうちに作り上げてテストし結果を出す、の繰り返しだったそうだ。プラグで点火する副燃焼室を設け、着火に適した濃いガソリン混合気を入れて着火、炎が薄い混合気の燃焼室全体に広がるようにした仕掛けだ。

 アイディア自体は古くからあるものだが、薄い混合気でどうして燃焼させるのかが勝負の時、宗一郎は「触媒を使おう」と言う技術者がいる中で、CVCCの開発を貫いた。ついに完成してみれば世界一番乗りで、ホンダの成功が世界の各社を「乗り遅れまい」と、排気ガス規制に動かしたのだ。

■ホンダ・シビック・タイプRに「レブマッチシステム」搭載

 そのシビックは当時マニュアルシフトのハッチバックスタイルの斬新な小型車で、現代の小型セダンの原型とも言うべき存在だった。それが今は当時の大型車並みの車体で、タイプRには、シフトの時、自動的にエンジン回転をシンクロさせる「レブマッチシステム」を搭載してきた。

 当時、日産スカイラインGT-Rと並ぶ最もハードなスポーツタイプとして登場したシビック・タイプRが、現代的装備を備えて登場。スポーツ走行をもっと手軽に味わえる仕掛けだ。BMW・M2などと同じジャンルの車であろう。サスペンションセッティングなど現代の最新鋭の考え方であることが予想され、楽しみな1台だ。