マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白

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北朝鮮から中国を経て韓国へと渡った北朝鮮女性の数奇な運命を描いたドキュメンタリー映画『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』が10日から東京で上映されている。

北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンブクト)出身のアズマイ(方言でおばさんの意)、マダム・べー。 2003年、家族を食べさせるために1年だけのつもりで北朝鮮を脱出し、中国に働きに出た。しかし、遠く離れた山東省の貧しい農家に売り払われてしまった。

(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

野良仕事の手伝いをしつつ、麻薬の密売や、脱北・送金ブローカーとして生計を立て、中国の家族を養い、北朝鮮に残された家族を韓国に脱北させる。

人身売買で自分を買った中国人の夫や家族。憎むべきはずの彼らとの間にいつしか情が芽生え、正式に籍を入れることを考えるようになった。そして、結婚に必要な韓国国籍を得るため、そして息子に会うために韓国へと向かった。

しかし、韓国社会は彼女にとって夢の国ではなかった。

飢餓、貧困、人身売買、裏切り。次々と襲いかかる不条理に翻弄されつつも、力強く生きるマダム・べーの姿を描いた同作品は2016年、モスクワ国際映画祭とチューリッヒ国際映画祭の最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞している。

ユン・ジェホ監督は、観客へのメッセージの中で「『マダム・べー』はある女性に関する物語だ。自分の夢を探す、自分の夢のために闘う一人の母の物語であり、その女性を、観客の皆さんが『ある人間の物語』として観てくれればと思う」と語っている。

「マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白」は東京・渋谷のシアター・イメージフォーラム、24日から名古屋シネマスコーレなど各地の劇場で上映される。