あなたの家計は黒字体質?赤字体質?

写真拡大

■「固定費」「流動費」を分析すればわかる

「黒字家計と赤字家計には、おのおの共通する傾向がある」――。1000件に及ぶ家計診断データを克明に分析したところ、そんな姿が浮き彫りになりました。具体的には、これまで家計診断を行った1万数千件のデータの中から、黒字家計500件と赤字家計500件を無作為に抽出し、手取り月収に占める「固定費」「流動費」「貯金」の割合をはじき出してみたのです。固定費は毎月一定額かかる費目、流動費は毎月増減する費目です。

すると黒字家計では、固定費が40%台後半〜50%台前半のケースが最も多く、なんと500件のうち453件において、50%以内に収まっていたのです。一方、流動費の割合を見ると、黒字家計では30%台後半〜40%台前半に収まっているケースが500件のうち428件でした。

ここから導かれる黒字家計の“理想的”な黄金比率は、「固定費:45%」「流動費:35%」、そして固定費と流動費を差し引いた残り、「貯金:20%」というわけです。

これに対し、赤字家計に目を向けると、500件の平均値は「固定費:65%」「流動費:45%」。つまり、単純計算で「赤字:10%」です。その赤字を補っているのは、ボーナスや結婚前から貯めていた貯金など。場合によっては、カード払いや借金に頼っている家庭もありそうです。

そんな赤字家計を再生しようとするとき、やみくもに節約をすればいいというものではありません。固定費と流動費は、それぞれ特性が異なるからです。たとえば、固定費が70%、流動費が35%で毎月5%の赤字という実際にあった家庭の例を参考に考えてみましょう。どのような費目をどれだけ改善したかをまとめました。(下図の右)

住宅ローンは当面、手をつけようがありませんでした。しかし、通信費は家族の携帯電話を格安SIMに切り替えることにより、2万円も削減できました。生命保険は、赤字家計なのに貯蓄性の保険料を支払うのは好ましくないため、その部分を解約。教育費は小学生の長女がいやいや通っていた習字とプールをやめました。さらに、なんとなくの健康志向から惰性で飲んでいたサプリメントを見直すなどし、固定費だけで毎月7万円削減、その比率を40%台後半にまで引き下げることができたのです。

流動費は理想割合におさまっていましたので、食費や生活日用品代、水道・光熱費を節約しようとしても、削れる部分はごくわずか。それでも、固定費の削減効果が大きく、赤字家計だったのが毎月5万円程度は貯蓄できるようになりました。

ここで重要となるのは、まず現在の毎月の家計状況を洗い出して、固定費に問題があるのか、流動費に問題があるのか、あるいはその両方なのかを把握すること。ぜひ、「横山式固定流動バランスシート」に実際に記入し、「固定費」「流動費」「貯金」の比率をはじき出してみてください。

■横山式「固定流動バランスシート」に記入してみよう!

★印がついている費目は「固定費」と定義します。年に1回まとめて支払うような費目(固定資産税など)や子供の入学金、住宅購入の頭金など特別な要因によるまとまった一時的支出は毎月の支出には含めません(別途貯金して対応)。

ちなみに「固定費」および「流動費」の定義の仕方はさまざまあるかと思います。今回の黄金比率の算出に際しては、横山式固定流動バランスシート内に記した分類をベースにしていますので、まずはこれを参考に分類することをお勧めします。

さて、「実際に記入してみたら赤字体質の家計であることが発覚!」し、ガッカリするかもしれません。でも、改善のポイントがわかりさえすれば、黒字体質の家計へと大逆転することだって可能なのです。次回から固定費と流動費の比率にスポットを当てながら、実際の家計改善事例を紹介します。

----------

家計再生コンサルタント 横山光昭
マイエフピー代表取締役社長。「消費」「浪費」「投資」で仕分ける家計管理の考え方が大反響を呼び、庶民派ファイナンシャルプランナーとして、1万件以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、『「貧乏老後」に泣く人、「安心老後」で笑う人』などベストセラー多数。
 

----------

(家計再生コンサルタント、マイエフピー代表取締役、ファイナンシャルプランナー 横山 光昭 構成=小澤啓司 撮影=小原孝博)