チームが4連勝するなか、自身は4試合連続フルタイム出場。その存在感は試合を重ねるごとに高まっている。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ16節]横浜 2-0 神戸/6月25日/日産スタジアム
 
 単なる偶然と言われればそれまでの話だ。チームの勝利に尽力しているのはひとりだけではないが、目下4連勝中の横浜において、時を同じくして明らかに存在感を増している選手がいる。
 
 扇原貴宏。開幕当初はベンチスタートが多かったが、今の連勝が始まった13節・清水戦からフルタイム出場を続けている左利きのボランチが、快進撃を支えるキーマンであることに異論はないだろう。
 
 その貢献度について、中澤佑二は次のように語る。
 
「今はね、扇原がけっこう頑張ってくれているんで。右へ左へと、自分の指示に従って動いてくれているから助かっている(笑)。
 
 前に出て守備をするよりは、横に幅広く動いて、パスコースを消したりする。彼にとって、今までにないプレーを見せていると思う。
 
 常に首を振って、自分がいなければいけない場所を確認しながら、両SBが高い位置を取っていれば後ろに残ったりとか、そういったことを考えながらできている。サイドチェンジも良いけど、ボランチはそれだけではダメなんで。
 
 いかにスペースを埋めたりとか、CBの前で“フタ”をするとか。サイドの裏に流れてカバーにも入る。けっこう大変なポジションだけど、一生懸命にこなしている。それは非常に大きい」
 
 神戸戦の扇原の総走行距離は、両チーム通じてトップの12.010キロ。以前からその高いテクニックには定評があったが、そこにタフさが加わった印象だ。
 
 当の本人も、確かな手応えを感じているようだ。
 
「F・マリノスのサッカーにも慣れてきましたし、ここ最近でチームとしての戦い方もはっきりしてきたので。自分自身、コンディションも上がってきているし、やりやすさを感じています」
 
 神戸戦では、ボランチの位置から最終ラインまで下がり、両CBの間にポジションを取ってボールを動かすプレーが効いていた。
 
「相手が2トップだったので、数的優位を作ってポゼッションしていこうというのは練習からやっていました。そこは上手くハマった時もありましたし、相手がプレスをかけにくい状況にはできたかなと思う」

【横浜 2-0 神戸 PHOTO】神戸に2-0の完勝でトリコロールが4連勝!
 味方にピタリとつけるサイドチェンジやロングボールも冴えわたる。
 
「それは自分の特長でもある。隙があればどんどん狙っていこうと思っていた」
 
 惜しくもゴールにはつながらなかったが、終了間際、裏を突いて抜け出した齋藤学に供給したフィードは、まさに真骨頂だった。
 
 守備面では身を挺したスライディングタックルを見せる一方で、「自分とマチさん(中町公祐)でしっかりとスペースを埋めながら、上手く守れているかなと思う」と、中澤が評価するような精力的なディフェンスでも好プレーを連発した。
 
 チームの4連勝については、「焦れずに、我慢強く戦えているのが大きい。今日(神戸戦)に関しては、ボールを回す時間も増えた。みんながサボらず、頑張っている成果かなと思います」と話す。
 
 その戦いぶりを象徴するのが、扇原だ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)