張本智和【写真:Getty Images】

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10代の若き才能が次々開花…王者・中国が見る卓球ニッポンの現在地

 今月行われた世界選手権(デュッセルドルフ)で歴史的なメダルラッシュを演じた卓球ニッポン。長く日本を牽引してきた水谷隼、石川佳純の男女エースに加え、13歳・張本智和、17歳・平野美宇ら、10代の若き才能が次々と芽吹いている。夜明けを感じさせる躍進に注目が集まるが、壁として立ちはだかるのが、中国である。果たして、世界NO1の卓球王国は日本をどう見ているのか――。

「数年、日本は私たちにとって主なライバルとなっている」

 こう話すのは、世界ランキング1位の最強王者・馬龍だ。リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得し、中国のエースに君臨する28歳は、国際舞台での日本の成長に目を見張っている。

「昨年はオリンピック、世界選手権で団体戦で決勝に勝ち進んだ。非常に力のあるチームで、ある意味、脅威を感じている」

 昨年の五輪、世界選手権ともに決勝で日本を迎え撃ち、そして、下した。実際に世界最高峰の舞台で激突し、感じることは多かったという。

「日本は非常に若い年齢の選手たちの台頭している。とりわけ……」と話し、名前を挙げたのは、あの天才少年である。

「ハリモトだ」

「張本の成長を注目する」「見守る」…世界1、2位が警戒する将来性

 張本は世界選手権男子シングルスで男女を通じて史上最年少となる8強入り。日本のみならず、世界のファンを驚かせた。

 その衝撃は卓球王国の選手にとっても、同じだったようだ。馬龍は「初めて知ったのは彼が小学6年生」の時という。ジュニアのワールドツアーに出場していた当時から、存在を認識。そして、15年10月のポーランドオープンで、13歳と実際に対峙している。

 前回対戦でストレート勝ちを収めた馬龍は「2年前に比べると、背も高くなったし、技術も成長している。ワールドツアーや世界選手権でいい結果を残している」と評価。そして「張本の成長を注目していきたい」と一目置く存在であることを明かした。

 一方、世界ランキング2位の樊振東も、張本を「実力がある」と認めるひとりだ。

 中国の次期エースと期待される20歳は、これまで張本と中国人選手の対戦を間近で見てきたことを踏まえ、「これから張本の成長を見守っていきたい」と馬龍同様、世界のトップ戦線において注目の存在であることを認めた。

 さらに、樊振東は日本の卓球界全体の底上げについても警戒している。「数年、ワールドツアーでも世界選手権でも丹羽、水谷と対戦する機会があった。これはまさに日本選手の実力が向上した証しでもある」と日本の実力者の名前を挙げ、評価した。

 では、女子に目を移すと、どうだろうか。

中国の次代のヒロイン候補の16歳が語る平野、伊藤「私より実力がある」

 史上最年少で中国の世界1、2、5位を撃破し、アジア女王に輝いた世界ランキング7位の平野。さらに、同10位の伊藤美誠と10代の2人が世界トップ10に名前を連ね、若手が成長している。しかし、それと同様か、それ以上に中国の若手の躍進も著しい。その一人が、16位サイの孫穎莎だ。

 初出場のワールドツアーとなったジャパンオープンでシングルス、ダブルスの2冠を達成。しかも、シングルスでは平野を下して勝ち上がった世界ランク5位の陳夢を決勝で破り、優勝を果たした。続く中国オープンでも決勝に進出し、敗れはしたが、世界ランク1位の母国の女王・丁寧と渡り合った。

「平野、伊藤はもちろん、知っている。強い選手です。私より実力がある」

 次代のヒロイン候補はこのように、2人を格上と認めた。世界選手権直前の中国代表合宿には平野のプレーを模した“コピー要員”として招集されていた16歳。「平野はすごくスピードがあるし、進んだプレーをする。似ているところもある。身長もあるし、スピードがあるところが似ている」と話している。

 25日に幕を閉じた中国オープンでも、男子ダブルス決勝の日本人対決で上田仁、吉村真晴組が優勝し、準優勝の張本、木造勇人組とともに1、2位を独占。鮮烈なインパクトを残した。

 前述の馬龍は、日本についてこうも語っている。

「とても可能性のあるチームだ」

 もちろん、中国も世界NO1の威信をかけ、さらに飛躍を期すだろう。しかし、成長著しい日本の存在感が卓球王国を少しずつ、脅威を与えているのは確かだ。