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●郵便配達が電動バイクに!

日本郵便と本田技研工業は“社会インフラ整備”に向けた協業の検討を開始した。その中身は、郵便配達にホンダ製の電動二輪車を使うための実証実験だ。郵便配達の「カブ」を置き換えることで、ホンダは電動バイクの普及につなげられるか。

○2018年中に具体化、EVカブの導入は明言せず

実証実験の中身はこれから詰めるそうで、その時期や規模について詳しいことは明かされていないが、ホンダで二輪事業を担当する取締役執行役員の青山真二氏は、協業の発表会で「2018年中には何かしらの形で始めたい」とスケジュール観を語った。

ちなみに、ホンダは「スーパーカブ」を電動化した車両「EVカブ」を開発中で、2018年にも市場投入する予定で動いているらしいが、このEVカブが郵便配達に使われるかどうかは現時点で決まっていないという。

日本郵便が配達に使っているバイクは全国に約8万5,000台ある。これが電動バイクに置き換わることになれば、当然ながらホンダにとっては商機となる。ホンダは2016年度に世界で約1,800万台のバイクを販売する予定だが、日本市場は事業環境が厳しく、販売予想台数も16万台と少ない。郵便配達用の電動バイクを売ることができれば台数増加に直結するし、人目につく頻度も増えるので電動バイクの知名度向上にもつながるだろう。

ただ、今回の協業に対してホンダが期待していることは、一時的な販売台数よりも、もっと長期的で本質的なことのような気がする。

●電動化の障壁はインフラ整備

○避けて通れない二輪車の電動化

2016年10月に、国内の50cc原付スクーター事業でヤマハ発動機との業務提携を検討すると発表したホンダ。電動アシスト自転車や軽自動車に押され、原付スクーターの市場が縮小するなかで、老舗が提携に向けて動き始めたことは話題となった。

業務提携の検討項目には、「日本市場における原付一種クラスを中心とした電動二輪車の普及」を目的に、航続距離、充電時間、性能、コストといった「課題の解決を目指した基盤づくりの協業」が入っている。両社は電動バイクの普及でも協力していく方針なのだ。環境対策の観点からも、二輪車の電動化は避けて通れない道だ。

電動バイクを普及させるうえで課題は様々あるが、なかでも大きいのが充電インフラの普及だ。電気自動車と比べれば、電動スクーターの行動範囲は狭いものと想像できるが、バッテリーの容量が小さいので、その航続距離も限定的だ。家庭以外でほとんど充電できないとすれば、電動スクーターの使い勝手には問題があるといわざるを得ない。

○電動バイク普及に追い風となる郵便局の存在

日本郵政とホンダの協業で注目したいのは、郵便局で充電ステーションの実証事件を行うとしていることだ。簡易郵便局を合わせると、全国に約2万4,000局あるという郵便局。全部は無理でも、その大部分を充電ステーションとして使えるようになれば、電動バイクの使い勝手は格段に上がる。

充電ステーションは交換用のバッテリーを置く形にするのか、あるいは充電設備を備えるものにするのか。まだ両社は決めていないそうだが、日本郵便の代表取締役副社長を務める福田聖輝氏が、ステーションを「人々が集まる場所」にしたいと語ったところから想像すると、郵便局の充電設備は、様々な目的で誰もが使えるものになる可能性があるようだ。両社の協業が“社会インフラ整備”を名目としていることも、これなら納得できる。

クルマ同様、バイク業界にとっても電動化は避けられない命題だ。ネックとなるのは充電インフラ整備の問題だが、郵便局を使えば一気に課題を解決できる可能性がある。実証実験の成否はホンダのバイク事業にも影響を与えそうだ。