先日アフリカのコンゴで違法採掘をしている金鉱において崩落事故があり、従事していた多くの鉱夫が亡くなったという記事がでていました。金は太古から人間を魅了し今も魅了し続けています。そのため世界のどこかでは常にこうした違法採掘などがあり、場合によっては争いなどを引き起こしてしまいます。金を取り巻く悲しい一面かもしれません。(イメージ写真提供:Shutterstock)

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■近代における金をめぐって
 
 先日アフリカのコンゴで違法採掘をしている金鉱において崩落事故があり、従事していた多くの鉱夫が亡くなったという記事がでていました。(※1)金は太古から人間を魅了し今も魅了し続けています。そのため世界のどこかでは常にこうした違法採掘などがあり、場合によっては争いなどを引き起こしてしまいます。金を取り巻く悲しい一面かもしれません。
 
 古い時代の金に関するコラムが続きましたので、今日は少し時代を近代に向けてみたいと思います。そして、金がよい役割(脇役ですが)を果たしたかもしれないというお話しをいたします。
 
 近代において金は通貨の裏付け、換言しますと通貨の脇役として機能した時期が断続的にありました。いわゆる金本位制です。日本をはじめ世界各国で、自国通貨を金で裏付け交換比率が決められていた時期がありました。最も知られたところでは、ドルの金本位制があります。その米国の制度もニクソンショック以来なくなりました。
 
 日本でも金本位制を行ったり廃止したりといった時代がありました。金が脇役であった時代であったといえるでしょう。近代においては、金貨それ自体が通貨として流通するというよりも、通貨(紙幣)が金で裏付けられるという一事象があったということがいえるかと思います。
 
■ケインズが考案した国際通貨バンコールと金
 
 さて、こうした近代の通貨・金の歴史のなかで、金が世界の平和に役立つちょっとした脇役として構想されたことがありました。それを考案したのは、あの有名な経済学者であるケインズでした。
 
 ケインズは第二次世界大戦後の処理を連合国間で検討する場において、世界経済のバランスをとって安定した国際社会をつくるために、国際決済を行う通貨として「バンコール」という通貨構想を提起しました。まず、国際的貿易を決済する「中央銀行の上の中央銀行」ともいうべき機関を創設し、その機関が国際通貨としての「バンコール」を決済するというものでした。
 
 このバンコールは、英語の「バンク(Bank)」、仏語の「金(オールOr)」を合わせて作った造語だとのことです。金が入っているように、限定的ながら金をバンコールに換えることができるという考えを含んでいました。第二次世界大戦後の安定した世界秩序を構想したケインズ。その構想の中には金が一定の役割を果たす考えがあったのです。結果的にはバンコール構想は実現せず、第一次、第二次世界大戦で、一躍世界のリーダーとして躍り出たアメリカ中心のIMF体制が勝利し、戦後の秩序がつくられていくことになります。(※2)
 
■平和と金
 
 第二次世界大戦後が平和であったかどうか、それは簡単にはいうことはできません。ケインズの構想の中では、国際秩序の中で一定の役割を果たすかもしれなかった金。戦後は米ソの超大国の冷戦の中で、金は金本位制などで役割を果たしただけでなく、資産としての地位を築いてきたといえるでしょう。
 
 金は高価ではありますが、その気があり、そして一定のお金さえ出せば買える時代です。 冒頭にあげたような事件からすると金が欲にまみれたものではないか、またはと戦争が起こると金が買われるから「戦争あっての金」である、いう意見も出てくるかもしれません。
 
 しかし、バンコールにおけるケインズの構想の中では、金は世界平和構想の中のひとつの要素でした。(情報提供:SBIゴールド)(イメージ写真提供:Shutterstock)
 
【参考資料】
(※1) http://www.afpbb.com/articles/-/3111714
(※2)「20世紀国際政治経済機構形成の理念?ウィルソンとケインズ
Visions for a new World System in the 20th Century ?W. Wilson and J.M. Keynes-」
早稲田社會科學研究 52pp.1 - 17 , 1996-03 , 早稲田大学社会科学部学会
この論文は、ケインズの戦後の新秩序構想を米英の政策的駆け引きの中で述べています。