あのバフェットも資産の9割を ETFで運用するように指示

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投資先進国の米国で、今最も注目を浴びている商品がETF(上場投資信託)です。米国ではETFが年率2ケタの成長率で伸びており、現在の純資産残高は280兆円。これは、日本のETF市場の14倍超。(1)コストを抑えた運用ができる、(2)リアルタイム取引ができる、(3)指値・成り行き注文ができる等、多くのメリットがあるETFですが、まだ日本の個人投資家にとってはなじみのある商品とはいえません。その理由は、手数料が低いため、証券会社が積極的に顧客に紹介してこなかったから。しかし、金融庁が「ETFは投資家の資産形成に有用な金融商品であり、今後十分に活用を検討していく」と公表するなど、今後、注目が集まることが予想されます。本連載では、最新刊『ETFはこの7本を買いなさい』(ダイヤモンド社)を上梓した世界No.1投信評価会社トップの朝倉智也氏が、ETFの何がおすすめなのか、その選び方・買い方、活用法等について、わかりやすく解説します。

アクティブからインデックスへ
投信市場の流れが変わった!  

 アメリカの投資信託会社バンガード・グループから、世界初の個人向けインデックスファンドが発売されたのは、1976年。およそ40年ほど前のことになります。

 しかし当初、インデックスファンドという金融商品は、業界内でその価値がほとんど理解されませんでした。運用商品が市場平均を上回るパフォーマンスを狙うのは当たり前のことだった当時、「市場平均並み」を目指す運用に意義を見出すのは難しかったのでしょう。

このため同社の取り組みは、バンガード・グループ創業者のジョン・ボーグル氏の名前をとって「ボーグルの愚行」と呼ばれたといいます。

 有り体にいえば、今から40年ほど前に登場したとき、インデックスファンドの評判は散々なものだったわけです。

 しかし時は流れ、状況は大きく変わりつつあります。投信先進国のアメリカでは、今、インデックスファンドへの資金流入が加速しているのです。

 下の図表は、2016年のアメリカの投資信託の資金流出入額を示したグラフですが、アクティブファンドはおよそ40兆円の資金が流出しているのに対し、インデックスファンドには60兆円近い資金が流入しているのです。

 この傾向は、特にリーマン・ショック前後から現れてきたと考えられます。

 以下の図表をご覧ください。これは、アメリカの投資信託の資金流出入額について、アクティブファンドとインデックスファンドの推移を示したものです。

 グラフからおわかりいただけるように、アクティブファンドは2007年から流出額が大きく増え始め、特に近年はその規模が拡大傾向にあります。  

 一方、インデックスファンドは2007年ごろから流入額が増え始めており、近年は流入のペースが目覚ましい伸びを見せています。  

 これはおそらく、リーマン・ショックを機に大きく値下がりしたアクティブファンドに対して、個人投資家が「アクティブといっても、実は大した運用ができていないのではないか」という疑念を持ち始めたことが背景にあるのだと思います。  

 もともと、アメリカではアクティブファンドのほうが圧倒的に人気でした。それは多くの個人投資家が、「市場平均並みの運用しかできないインデックスファンドを買うよりも、腕のいいファンドマネジャーにお金を託すアクティブファンドのほうが、より優れたパフォーマンスをあげてくれるにちがいない」という夢を持っていたからです。  

 しかし、個人投資家の志向は昨今、大きく変わりつつあります。 下の図表は、アメリカの投資信託のアクティブファンドとインデックスファンドの純資産残高の推移と今後の予測を示したグラフです。

 今のところ、まだアクティブファンドのほうが残高は大きいものの、今後はインデックスファンドがどんどん残高を伸ばし、2024年にはアクティブファンドを超えると予想されています。

 アクティブファンドの運用会社にとっては逆風が吹き、インデックスファンドの運用会社には追い風が吹いている状況なのです。  

 かつてインデックスファンドの発売が「ボーグルの愚行」と揶揄されていた時代があったことを思うと、これほどまでインデックスファンドが隆盛すると予想できた人はいなかったのではないでしょうか。  

 伝説的投資家として知られるウォーレン・バフェット氏は、自身の運用哲学に基づいてまさに「アクティブ」に投資を行ってきた人物ですが、実はそのバフェット氏もインデックスファンドを高く評価しているのです。

バフェットがインデックスファンドに「お墨付き」を与える 

 バフェット氏は自身の投資会社バークシャー・ハサウェイの株主に宛てて毎年手紙を公表しているのですが、2017年の手紙の中では、2008年以降、多様な運用戦略を用いる高コストなヘッジファンドの運用成績がS&P500に連動するインデックスファンドに劣っていることを指摘しています。  

 また、あるインタビューでは、自分の死後は資産の9割をインデックスファンドに投資するよう妻に伝えていると語っているのです。  

 バフェット氏の言動には、つねに多くの投資家から注目が集まります。

インデックスファンドの人気が高まっているのは、このようにバフェット氏がインデックスファンドに「お墨付き」を与えていることも理由の一つなのかもしれません。

朝倉智也(あさくら・ともや)
モーニングスター株式会社代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。
銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立および上場準備を担当。
98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。
第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努めるとともに、各上場企業には、戦略的IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)のサポートも行っている。他にSBIグループ各社の重要な役員を兼任する。
著書に『〈新版〉投資信託選びでいちばん知りたいこと』『一生モノのファイナンス入門』(ダイヤモンド社)、『マイナス金利にも負けない究極の分散投資術』(朝日新聞出版)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社)などがある。

※次回は、6月28日(水)掲載予定です。