フラクタルを描くマンデルブロ集合は、細部と全体が自己相似性を持つことで、どこまで拡大しても同じような模様が繰り返し登場するという不思議な性質があります。このマンデルブロ集合のフラクタル図形を、コンピューターの存在しない13世紀に手動で計算して描画していた僧侶がいたというジョーク記事が公開されています。

THE MANDELBROT MONK

http://users.math.yale.edu/public_html/People/frame/Fractals/MandelSet/MandelMonk/MandelMonk.html



1200年〜1270年に生きていたと見られる僧侶のUdo of Aachen(アーヘンのウド)は、数学者・詩人・書写者・神学随筆家というさまざまな一面を持っています。ウド自身の名はさほど有名ではありませんが、彼の作品のひとつである「カルミナ・ブラーナ」は、有名な詩歌集として知られています。1937年に作曲家のカール・オルフによって編曲されたウドの詩は「おお、運命の女神よ(O Fortuna)」という合唱曲として、現代まで広く普及しています。

ウドの知られざる能力を発見したのはハーバード大学の数学者であるボブ・シプケ氏。アーヘン大聖堂を訪れたシプケ氏は、13世紀の書物に、マンデルブロ集合のように見える小さな模様が描かれていることに気付きました。シプケ氏は「私はぼうぜんとしました。なぜならこの発見は死海文書の中にビル・ゲイツを発見したようなものだったからです。私はウドについてもっと調べる必要があると感じました」と話しています。



シプケ氏がウドの残した資料などからこの模様が描かれた方法を調べた結果、ウドは1976年のIBMの研究者であるブノワ・マンデルブロより7世紀も早く「マンデルブロ集合」を研究していたことが判明。また、ウドはマンデルブロ集合の手法で描いた120×120ピクセルのプロットを「コロンビアリウム」と呼んでいるのですが、当時の最新の「アルゴリズム」を使っても、コンピューターなしでは計算に9年を要していたとのことです。なお、これらの情報が公開されたのは1999年4月1日となっており、エイプリルフールにちなんだジョークとなっています。