北朝鮮北部で、伝染病の腸チフスの感染が拡大している。患者の急増で医薬品の値段が高騰していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、腸チフスは恵山(ヘサン)市渭淵洞(ウィヨンドン)で今月10日に最初の患者が確認された後、市内全域に急速に広がり、患者は数百人に達している。

病院の隔離施設はベッド数が足りないため、患者は自宅で隔離されている。渭淵防疫所では、飲み水は沸騰させた上で、酢を1、2滴垂らしてから飲むように広報している。また、市場や道端で調理済みの食べ物の販売を禁止したため、その日暮らしをしている人々は苦境に追い込まれている。

もう一つ心配されるのは、全国への拡大だ。恵山は、三池淵(サムジヨン)や白頭山の革命戦跡地を巡る踏事(フィールドワーク)の出発地となっていて、全国から人が集まるためだ。

今回の腸チフスの感染源となったのは、大きな水たまりだ。今月初め、大型の水道管が破裂する事故が発生したが、当局は修理もせず放置した。やがて大きな水たまりができたが、近隣住民はその水を汲んで飲水として使うようになった。そこから、腸チフスの感染が広がったもようだ。

腸チフスは、ペニシリンとマイシリンを混ぜた注射を打って、シントミチン(クロラムフェニコールの光学異性体、ロシアなど旧共産圏で多く使われる)1回2錠を1日3回を服用して治療するが、患者の急増により薬の値段が高騰している。

別の情報筋によると、金持ちの使う200万単位/グラムの中国製錠剤は2000北朝鮮ウォン(約26円)から3000北朝鮮ウォン(約39円)に、庶民の使う300万単位/グラムの順川(スンチョン)製薬工場製錠剤は300北朝鮮ウォン(約3.9円」から900北朝鮮ウォン(約11.7円)に値上がりした。一方、順川製薬工場製のシントミチンは、1箱10錠入りが4000北朝鮮ウォン(約52円)で、値上がりしていないようだ。

ちなみに日本では、薬剤耐性チフス菌の出現で治療効果が期待できなくなったため、ペニシリンとマイシリンを使うことはあまりなくなっている。