トラン・アン・ユン監督と橋口亮輔監督

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 「フランス映画祭2017」の関連企画で、トラン・アン・ユン監督と橋口亮輔監督によるトークイベントが6月25日、Apple銀座で行われた。

 トラン監督と橋口監督はともに1962年生まれ。「1996年のロッテルダム映画祭で出会って、是枝(裕和)監督も同じ年齢だとわかって3人で仲良くなりました」と明かすトラン監督。「橋口さんの『渚のシンドバッド』が涙が出るほど大好き。自分の結婚式に音楽をかけたほどです」と、トラン監督が審査員を務めたロッテルダム映画祭グランプリ受賞の、橋口監督の代表作を挙げる。

 橋口監督も「何年かぶりに会ったような気がしない」と打ち解けた様子で、95年にベネチア映画祭でトラン監督が金獅子賞を受賞した「シクロ」について、「アメリカ側の描くベトナムとは違う。ぼくの表現と似ている部分もあった」と感想を述べた。そして話題は、トラン監督が「ノルウェイの森」以来6年ぶりに手がけた「エタニティ 永遠の花たちへ」へ。19世紀末のフランスを舞台に、オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョという人気実力派女優たちを主演に迎え、運命に翻弄されながらも世代を超えて命をつないでいく女性たちの姿を描いた作品だ。

 本作は、リハーサルをせずに、その日の当日にシーンを決めるという撮り方をしたそうで、「観客の心にこれまでない感動をどのように喚起させるかを考えました。映像も、次に何が起こるか予見してしまうようなロジカルなつなぎ方はしていません。映画とは言語であり、私自身も習っている途中です。観客に対してリスペクトを持ち、彼らの見たことのない新しいものを提示すること。他人を知るためではなく、自分の感受性を知るものだと思うのです」とトラン監督はその意図を説明する。

 さらに、「美というものは二つの相反するもの、いわば矛盾から生まれ、矛盾がエモーションを呼ぶと思うのです。映画は自分を投影し、自問自答させる。あらゆる芸術は人生について語り、人生を理解すること。人生には物事が起こるだけですが、映画は人生より真実を語ると思うのです」と自身の哲学を語った。

 トラン監督の、映画に対する深い思いを受け取った橋口監督は「途方のもない距離のある観客と、胸の奥がつながった時の奇跡。僕らはそれを作っていかなければ」と、トラン監督と頷き合い、ともに表現者としての役割を再確認していた。

 「エタニティ 永遠の花たちへ」は秋公開。