アンヌ・フォンテーヌ監督と
ルー・ドゥ・ラージュ

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 第二次世界大戦末期のポーランドで起きた衝撃の実話を映画化した「夜明けの祈り」が6月24日、東京・有楽町朝日ホールで開催中のフランス映画祭2017で上映され、アンヌ・フォンテーヌ監督、主演のルー・ドゥ・ラージュが舞台挨拶に臨んだ。

 「ココ・アヴァン・シャネル」「ボヴァリー夫人とパン屋」のフォンテーヌ監督の最新作で、戦争末期のポーランドに赴いた女医マチルドが、ソ連兵の暴行で身ごもった修道女たちの姿を目の当たりにし、幾多の困難に直面しながらも彼女たちの希望となっていくさまを描く。

 フォンテーヌ監督は、本作について「信じられないかもしれませんが、実際の出来事であり、これまで忘れ去られ、もしくは隠されてきたことです」と語る。そして「忘れてはならないのは、これは70年前の過去の出来事ではなく、いまなお戦争下にある国々で行われているということです」と訴えた。

 主人公の女医マチルドを演じたドゥ・ラージュは、オーディションで役を獲得し、ポーランドでの撮影に臨んだが「私にとっても大きな挑戦でした」と述懐。「マチルドはポーランドに赴き、いろんな衝撃を受けますが、私も現地に赴き、仕事をすることで彼女と同じような感覚を経験できたと思います。ただ彼女と異なるのは、マチルドは修道女たちから拒絶されますが、私はみなさんに歓待していただきました」とほほ笑む。

 ドゥ・ラージュの起用を聞かれたフォンテーヌ監督は「当時、女医の存在自体が珍しく、戦地に赴くとなるとさらにまれです。そんな女性は強い個性と覚悟を持った顔をしているだろうと考えました。最初にルーを見て驚いたのは、表情にカリスマ性があり、秘めた頑固さ、決意のようなものが感じられたことでした」と説明する。

 マチルドは言葉を使わず、沈黙によって感情を雄弁に伝える。ドゥ・ラージュは、マチルドの心情を「最初、彼女の中には修道女たちに対し、たくさんの『どうして?』という思いがあります。医師としての務めを果たそうとするも、それができない戸惑いが、彼女の沈黙を生んだのだと思います」と分析。さらに「いまの世の風潮として、あまりに音が多すぎるし、考えなしに話す人が多い中で、私自身、沈黙に心地よさを感じています」と語っていた。

 「夜明けの祈り」は8月5日公開。