フローニンゲンへのレンタル移籍が決まった浪速の至宝、堂安。攻撃自慢のチームでいかに個性を発揮するのか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 オランダ・リーグ挑戦が決まった堂安律に関し、地方局『RTVフローニンゲン』は「フローニンゲンが堂安の獲得競争に勝つ」と報じた。
 
 昨年1月にはPSVアイントホーフェンが正式オファーを出し、最近はアヤックス・アムステルダムが興味を示していたが、出場機会を重視した堂安はあえて中堅クラブのフローニンゲンを選んだのだ。

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 ゲラルト・ポッツマ氏はフローニンゲンのサポーターであり、日本のサッカーファンでもあるという。そのポッツマ氏が『ブーレンマフト』というファンサイトに寄稿したコラムによると、いまから2年前、アジア・チャンピオンズリーグのFCソウル戦で途中から出場した堂安を観て、「これはすごいタレントだ。5年以内にヨーロッパでプレーするだろう。それがエールディビジになる可能性もある」と、その才能に惚れ込んだという。
 
 そこでポッツマ氏は「フローニンゲンは堂安を追ったほうが良い」とクラブにメールを出したのだが、やがてPSVが、その次にアヤックスが堂安に関心を寄せはじめてしまったので、「これは、もうフローニンゲンには来ないだろう」とガッカリしていたところ、突如として愛するクラブへの堂安の入団が決まった。本当にビックリしたらしい。
 
 トリッキーなテクニックがあって、どんな相手にも怯むことなくドリブルでチャレンジし、思い切ったシュートを放つ。そんなタイプのアタッカーに、オランダ人は強い思い入れを抱く。堂安のような選手はきっと、フローニンゲンのサポーターにも受け入れられるだろう。
 
 1982年から2年間、フローニンゲンで初めてのアジア人選手として活躍したファンディ・アーマド(シンガポール代表)も、アジリティーがあって、ドリブル突破が魅力の選手だった。堂安同様、アヤックスに見初められながら、フローニンゲンを移籍先として選んだのも、偶然とはいえ面白い。
 
 現在、50歳前後のオランダ人にとって、エキゾチックな顔をしたアーマドの俊敏なプレーは強烈な印象を残したようで、時折、サッカーファンから昔話を聞かされることがある。堂安にも結果を残すとともに、ファンの記憶に残るようなプレーを期待したいものだ。

 2016-17シーズンのフローニンゲンは、5ゴールを決めた試合が3回もあるなど、攻撃の破壊力が凄まじかった。2トップを組むミムン・マヒー、ブライアン、両サイドハーフのウサマ・マヒー、イェスパー・ドルストはいずれもドリブラーで、即興性の高いコンビネーションプレーも得意とする。この魅惑のアタッカー陣に堂安がどう絡んでくるか。想像するだけでも楽しみだ。
 フローニンゲンOBで、日本でのプレー&監督経験も持つペーター・ハウストラは、『RTVフローニンゲン』の取材に対し、こう答えている。
 
「堂安はテクニックがあってクレバーな、典型的な(170センチの小柄な)日本人選手。左足に秀でており、得点能力がある。そして、ドリブルが一番の長所だ。簡単に当たり負けすることはない。私なら彼の後ろに守備のブロックを置いて、中盤の真ん中で使う。彼が活きるのは狭いスペースだ。サイドではない」
 
 ハウストラが心配するのは語学面。ハンス・ナイラント社長から「堂安は英語をしゃべれない。すぐにオランダ語のレッスンを受けてもらう」と聞いているようだ。
 
「チームに馴染めれば堂安は活躍するだろう。多くの日本人は規律正しいし、ハードワークをする。彼らは人の話をしっかり聞くからね」
 
 そんな堂安にとって、今夏からロン・ヤンスがテクニカル・マネージャーとしてクラブのフロントに入ったのは心強い。外国人選手とのコミュニケーション能力に長けるヤンスは、現役時代にはマツダ(現・サンフレッチェ広島)のFWとして日本リーグでプレーした経験を持つ。
 
 ヤンスは昨季までズウォーレの監督を務めていたが、そこでユースチームやリザーブチームの一員としてプレーした日本人選手は「ヤンス監督はとても人格者。彼が怒ったところを見たことがない。食事の時も選手とまめにコミュニケーションを取っていた。僕にも時折、片言の日本語で話しかけてくれました」と話していた。
 
 フローニンゲンにとって、目下最大のライバルはヘーレンフェーンだ。2005年辺りから、ヘーレンフェーンとフローニンゲンの戦いは「オランダ北部ダービー」として、特別な意味を持つようになってきた。両者はいきなり新シーズンの開幕戦でぶつかる。
 
 はたして、堂安律と小林祐希が中盤でぶつかり合うシーンは訪れるのか。いまから注目したい。

文:中田徹(フリーライター)