アシストを決めて笑みを浮かべる柴崎。交代の理由は戦術的な理由か、疲労によるものか、それとも……。(C)Getty Images

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 テネリフェが奈落の底に突き落とされた。
 
 6月24日、リーガ・エスパニョーラ2部の昇格プレーオフ決勝。第1レグを1-0で制したテネリフェは、ヘタフェの敵地に乗り込んだ。
 
 アウェーチームを待っていたのは、第1レグとはまるで別人となったヘタフェのハイインテシティーと、スタジアムを揺るがす圧倒的なサポーティング。9分、12分と立て続けに被弾して、あっという間にトータルスコアで逆転されてしまう。テネリフェの地元紙『eldorsal』は、「なんて酷い守備だ。考え得る最悪のスタート」と吐き捨てた。
 
 そんな嫌なムードを一掃したのが柴崎岳だった。17分、左サイドでアイトール・サンスのパスを受けると、鋭いグラウンダーのクロスを中央へ供給。これをアントニー・ロサーノが難なく蹴り込んで、値千金のアウェーゴールを奪った。これで3戦連続でゴールに絡んだことになる。
 
 2戦合計で優位に立ち、試合を落ち着かせたかったテネリフェだが、またしてもヘタフェの勢いに呑まれてしまう。37分、ダニ・パチェコに3点目を決められ、再び窮地に追い込まれた。
 
 そして後半早々、ゲームの分岐点とも言える選手交代がなされる。51分、テネリフェのホセ・ルイス・マルティ監督は柴崎に変えてアーロン・ニゲスを投入。攻撃にリズムを生むクリエイターを外し、ダイレクト志向の強いサッカーへと切り替えたのだ。
 
 この采配に猛反発したのがファンとサポーターだった。全国紙『MARCA』の速報ページやツイッター上で、批判的な意見が相次いだ。
 
「ガクは怪我でもしたのか? でなければ明らかな失策だぞ、マルティ!」
「攻撃に怖さがなくなった。どうやって点を取ると言うんだ!」
「バラバラじゃないか。ヘタフェは楽になっただろう」
「ガクはよく走り、よく働いていた。なぜだ!」
「なにを焦っているのか。仕掛けるにしても早すぎる」
 
 さらに指揮官は63分に主将のスソをもベンチに下げる。試合前にキーマンに指名した中盤の二枚看板を諦め、ロングボール一辺倒の戦法でゴールを狙う賭けに出た。しかし──。
 
 終盤に猛攻を仕掛けるもあと1点が遠く、昇格の夢を断たれたテネリフェ。水曜日の天国から3日後、地獄を見たのだ。
 
 はたして、柴崎の去就はどうなるのか。なにかしらのアクションがあるだろう。今後の動向を注視したい。

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