昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。

その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。

時は、2017年の東京。

日々行き交うLINEに対して、現代の男女は何を想うのか。

食事会で知り合った由紀とデートまでこぎつけたのに、次回は友達も一緒にと言われ、心情の変化の理由が分からない裕太。

その真相や、いかに。




盛り上がった食事会。帰宅のタイミングでLINEがほしい


裕太さんと出会ったのは、同僚の奈美に人数合わせのために誘われて参加した、食事会の席だった。

私の会社は同期が仲良く、また可愛い子が多いとも評判の会社だ。その中でも特に仲の良い私と奈美だが、大概の女性たちより可愛いという自信はある。

そのためか、食事会に誘われる頻度も高い(大概、奈美と一緒に繰り出している)。

そんな中で出会った裕太さんは、少し色白で背が高く、笑うと細くなる目が素敵な男性だった。

同じ目黒に住んでいると言うことで最初から会話は盛り上がり、すぐにLINEを交換する。

「由紀ちゃん、LINE交換しない?目黒の美味しい店、教えてよ。」

食事会終了後、裕太さんと一緒にタクシーに乗ろうとした際に、“方向が一緒だから”と、同じタクシーに急に奈美が乗り込んできた時は、空気を読まない奈美を恨んだ。

-せっかく、もう少し話せるチャンスだったのに

そう思いながらも私の方が近かったため、二人をタクシーに残して先に降りる。

もっと話したかったと思っていると、裕太さんからLINEが入った。

食事会で盛り上がった当日。言うならば、解散して家に着いた頃合いでLINEが来るのは嬉しい。

余韻が冷めぬうちに、会話をしたいから。




しかしこの一文を見た時に、少し火照っていた身体が冷めていくのを感じた。


この一文の何がNGだったのか?読めぬ女心の複雑さ


A1:定型文は、もう十分。女は“自分は特別”という感情を抱かせて欲しい


-食事会後の定型文

とっさに、そんな言葉が頭に浮かぶ。

今まで何人ともデートを重ね、何十回、いや何百回もの食事会に参戦してきた。男性からのセリフはいつも同じ。まるで定型文だ。

だから私も、お決まりの台詞で返す。






翌日、夕方頃に奈美からLINEが入っていた。

食事会後に、お礼のLINEを送るのは男性に対してだけではない。女性も、友達同士でお礼のLINEを送り合っているのだ。

そしてそれは情報共有の場でもある。




奈美からのLINEを見て、裕太さんに対する気持ちは更に冷めた。

-結局、みんなに同じ内容を送っているんだ...

男性側の事情なんてこっちは知らない。

タクシーの中で、二人がどんな会話で盛り上がったのかも分からない。でも結局、同じような文章を、まるで定型文のごとく皆に送っているのかと思うと、女性としてはショックである。

女同士は、男性との会話をスクショで送り合う。

それに気づかず、女性たちに同じような文面を送っている男性の、なんと多いことか。

-これ、ほぼコピペだわ...

社交辞令だとしても、自分に送った内容と、友達に送った内容がまるで一緒。

女性は、“あなたは特別”と言ってもらいたい生き物である。隣のあの子よりも、自分は大切にされている。そう思いたい。

しばらくコピペ男・裕太のことは放置しようとしていたが、週明けに入ったLINEで心は揺らいだ。




食事に誘ってくれるのは、少しは特別だと思ってくれているサインだろうか。しかも奈美は結局、まだ具体的には誘われていないと言っていた。

少しだけ淡い期待を抱いて、裕太さんと食事に出かけることにした。


女性同士で送り合うスクショ、使い古した会話にはご注意を


A2:セリフの使い回しはいりません。名古屋出身だから味噌カツ好きとは限りません。


「わぁ、こんな所にこんなお店があったなんて!素敵なお店ですね。」

裕太さんが指定した『ラ メゾン ダミ』はこじんまりとした、暖かい雰囲気のお店ですぐに気に入ってしまった。




ワインのセレクトも良く、裕太さんがオススメだと言っていた鯖のマリネは絶品だった。

「裕太さん、さすが。美味しいところ知ってますね。」
「そんなことないよ。由紀ちゃんの方こそ、たくさん色んな人に連れて行ってもらってるでしょ?」

会話は順調に進んでいたが、会話を進めていくうちに気になったことがある。

裕太さんは、会話までどこか定型文のようなのだ。

「由紀ちゃんの出身地は?へぇ、名古屋なんだ。やっぱり味噌カツとか好きなの?」
「由紀ちゃん、大学は学習院?わかる、学習院っぽい雰囲気があるもん。」
「長女なの?だからしっかりしてるんだね。」

別に名古屋出身だからと言って、全員が味噌カツを好んで食べるとは限らない。

それに学習院大学だと言っても、大学からなのでそこまで大学のカラーに染まっているのかは疑問である。

段々とおきまりの会話に飽きてきた自分がいた。

「由紀ちゃんって、絶対モテるよね。」

そしてこの一言、最初の食事会の時に、隣の席で奈美に言っているのを私は聞いていた。

裕太さんはきっと、とても良い人なんだと思う。皆のことを考え、誰に対しても平等に、優しく接してくれる思いやりのある男性だ。

でも、女性は意外に“誰に対しても優しい”人を求めていない場合が多い。

自分だけのために紡いでくれる愛の言葉を求めており、自分だけに優しくしてくれる温かいぬくもりが欲しい。

コピペや定型文は、求めていない。

可もなく不可もなく、デートは終わった。しかし翌日、やはり律儀に、また決まった文面で裕太さんからLINEが来ていた。




私は、自分だけを見てくれる人がいい。




裕太さんは、奈美に譲ろう。そう思いながら、裕太とのLINEの会話をスクショし、奈美に送った。

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