韓国の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の調査によると、ロシアに滞在する北朝鮮労働者の数は2016年末で4万人を超えた。彼らの多くが劣悪な環境で働かされ、労災事故が頻発している。人権侵害とも言える現状に批判の声が上がる中、40代の北朝鮮労働者が火災で死亡した。

ロシア・サンクトペテルブルクのオンラインニュースサイト、フォンタンカによると、市内ソビエツキー通りのマンション建設現場で17日早朝(現地時間)に火災が発生。建設現場内の宿舎の焼け跡から遺体が発見された。

遺体は48歳の北朝鮮労働者であると当局により確認された。当局はこの労働者が逃げ遅れたものと見ているが、殺人の可能性も含め捜査を行っている。

一方、極東のハバロフスクでは建設現場の事故で北朝鮮労働者3人が重軽傷を負った。

RIAノーボスチ通信によると、14日午後9時ごろ、ハバロフスク氏ツルゲーネフ通りのマンション、アクアマリンの建設現場で、アーチ型の屋根が崩壊した。北朝鮮労働者3人は4階の高さから落下し、市立第2病院で治療を受けている。怪我の度合いは3人とも異なるが、詳細は明らかになっていない。

2018年サッカーW杯ロシア大会の会場となるスタジアムの建設現場で、北朝鮮から派遣された出稼ぎ労働者が、奴隷のような労働を強いられているなど、北朝鮮労働者の待遇が人権問題となっている。

(関連記事:ロシアW杯の裏に「残酷物語」 北朝鮮労働者が受ける虐待

国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは14日に発表した報告書で、この建設現場で北朝鮮人を含む外国人労働者が少なくとも17人死亡していると暴露。労働者らは労働環境の劣悪さに苦しめられているが、何ら対処がなされていないと批判している。

国際社会からの批判にもかかわらずロシアは、北朝鮮労働者の受け入れを拡大する方針を崩していない。