香港が英国から中国に返還されて7月1日で20年。返還時には社会主義の中国とは異なる「一国二制度」が認められたはずだが、中国政府の締め付けが強まる中、本土との亀裂も深まっている。写真は香港。

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2017年6月23日、香港が1997年に英国から中国に返還されて7月1日で20年の節目を迎える。返還時には社会主義の中国とは異なる「一国二制度」が認められたはずだが、中国政府の締め付けが強まり、制度は揺らいでいる。これに伴い、香港住民の対中感情は悪化し、本土との亀裂も深まっている。

英国の植民地だった香港が返還された際、中国政府は引き続き50年間は特別行政区として資本主義を採用し、社会主義の中国と異なる「一国二制度」を維持することを約束。外交と国防を除き、香港には「高度な自治」が保障された。香港の憲法に当たる基本法には、中国本土では制約される言論・報道・出版の自由、集会やデモの自由、信仰の自由などが明記されている。

「一国二制度」に暗雲が立ち込めたのは、2017年の行政長官(香港のトップ)選挙をめぐり14年8月、中国政府が自由な立候補を阻む措置を決定したのがきっかけ。これに反発し、民主化を求める学生らが中心部に座り込む「雨傘運動」が繰り広げられた。

翌15年10月から12月には、中国共産党批判や指導者のスキャンダルなど本土で販売できない書籍を扱ってきた「銅鑼湾書店」親会社の出版社の株主ら5人が中国当局に連行されるなどして相次いで失跡。「言論の自由」が脅かされたとして、香港社会に大きな衝撃を与えた。

昨年9月の議会選挙(定数70)では「雨傘運動」後に台頭した香港独立を視野に入れる「本土派」議員2人が当選したが、香港政府は就任宣誓時に中国を侮蔑する発言などをしたとして、議員資格取り消しの司法審査を高等法院(高裁)に請求。2人は最終的に議員資格を取り消された。

香港メディアによると、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の張徳江委員長は5月末、北京で開催された「香港基本法実施20周年座談会」で講演。「中央と香港特区の関係は授権する側と授権される側の関係で、分権関係ではない。いかなる状況下でも高度な自治を盾に中央の権力に対抗することは認めない」と指摘した。その上で民主派の動きを「香港に対する国家の主権回復を認めず、香港を国家から分離し独立か半独立の政治実体にする企て」と批判した。

これに対し、香港住民の中国に対する不信感は高まる一方。香港大学が住民を対象に5月に実施した香港を含む世界16カ国・地域の好感度調査によると、1位台湾、2位カナダ、3位シンガポール、4位日本などの順で、中国は最下位だった。「いい印象を持っている」との回答は1%にすぎなかった。

7月1日には中国の習近平国家主席が出席する返還20周年記念式典や盛大な花火大会などのイベントが予定されている。習主席の訪問に合わせ、民主派などは10万人規模の抗議デモも計画しているという。(編集/日向)