10月に台湾初店舗を出店する新光三越。(エノテカの発表資料より)

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 エノテカは23日、今月2日に、台湾台北市に100%出資の現地法人を設立したと発表した。販売拠点としては、香港、シンガポール、中国、韓国に続く5拠点目となり、17年10月初旬の新光三越でのワインショップ開業を初めとし、来年までにさらに3店舗の出店を計画している。段階的に店舗を増やすことで、21年までに累計10億円以上の売り上げを目指している。

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 東アジアにおいて台湾は、中国、日本、韓国に次いでワイン輸入量が多くワイン市場も安定した成長を見せていることから、今後も年率3〜4%の成長が予測されている。エノテカは08年に香港に進出して以来、海外事業は好調に推移し、昨年は現地通貨ベースの前年比が香港25%、韓国26%、中国17%、シンガポール7%とそれぞれ増加し、大きく成長している。

 エノテカはワイン販売大手。1988年の創業以来、「すべてのワイン愛好家のために奉仕する」という企業理念のもと、ワイン事業専業商社として発展してきた。輸入ワインの卸売、ワインショップ、通信販売を軸に事業を展開。中高価格帯のワインに強く、海外の有力生産者との太いパイプを持つことから、1本数千円から数万円の高品質ワインを数多く調達できるのが強みである。

 15年にはアサヒビールがエノテカを買収。アサヒビールでは、国内アルコール飲料の縮小が続くなか、成長分野としてのワインを梃入れするため、中高価格帯のワインに強く海外に販売網を持つエノテカの買収に踏み切った。現在はアサヒビールの物流網も生かし国内の店舗を拡大させるとともに、海外展開も加速させている。

 エノテカの各海外販売拠点も、ワインを世界から直輸入、ワインショップと卸売業を展開している。現在、アジア各国の百貨店や商業施設からの出店要請が増加していることから、今後も東アジアを中心にグローバルへの販売網を順次拡大させていく。

 消費者の嗜好が多様化する中で国内ワイン市場は堅調である。だがそれにも増して中国を始めとする東アジアは顕著な伸びを見せている。一昔前までは中国で乾杯といえば白酒や紹興酒、ビールだったが、近年は中国政府関係者での懇親会においても赤ワインで乾杯をするなど固有の文化にも影響を与えている。

 ワイン業界の東アジアを中心とした地殻変動により、日本のワイン販売業者も国内の状況にのみ注視するビジネスが通用しなくなっている。中国の購買力が急激に高まったことで、これまで日本が購入していた一部のワインが高値により入手できないという現象も起きているのだ。

 とはいえ、エノテカを始め日本のワイン販売業者は長年の実績から輸入業者としてのノウハウには強みがある。停滞気味のアルコール飲料の中で、ワイン市場の安定した推移には今後も注目である。