10億ドルで売却のJ・クルーニーのテキーラ事業、価格は「高すぎ」か

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米俳優ジョージ・クルーニーは今ごろ、楽しげにお金の計算をしているかもしれない──。英酒造大手ディアジオは6月21日、クルーニーがパートナー2人と立ち上げたテキーラブランドを最大10億ドル(約1113億円)で買収すると発表した。

だが、ディアジオに出資する投資家らは、必ずしもこの計画を大歓迎しているわけではないようだ。発表を受け、アナリストらは買収価格が「高すぎる」可能性があるとの見解を表明。ニューヨーク証券取引所では同日、ディアジオの株価は1.75%下落した。

ディアジオは買収計画について、クルーニーらが造る高級テキーラ「カーサミーゴス(Casamigos)」が米国で非常に高い成長率を記録していることを指摘。さらに、テキーラ全体の売上高が、向こう5年間で3.6%の年平均成長率を記録すると見込まれることを強調している。

ただ、シティグループとクレディスイスのアナリストらは、ディアジオが提示したカーサミーゴスの年間売上高の20倍に相当する買収金額は、「かなり高い」との見方だ。ロイター通信によれば、蒸留酒の分野では売上高の4〜6倍で買収するのが平均的だ。

ディアジオはクルーニーらに当初7億ドルを支払い、その後10年間の業績に応じて、3億ドルまでを支払うという。買収手続きは今年下半期中に完了する予定で、同事業が利益を計上するのは2021年度以降になる見通しだ。クルーニーらは今後も、ブランドの顔として活動する。

過去2年の平均成長率は54%

クルーニーとパートナーらがブランドを立ち上げたのは、4年前のことだ。友人や家族に贈るものとして、そして自分たち自身が飲むためのテキーラとして造っていたが、連邦政府当局から「自己消費目的としては製造量が多すぎる」との指摘を受け、会社を設立した。

設立資金は3人がそれぞれ、60万ドルを出資したという。製造はメキシコの業者に委託している(法律に基づき、「テキーラ」と名付けることができる蒸留酒の産地はメキシコの一部地域に限定されている)。

米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、カーサミーゴスは2016年に12万ケースを販売。今年の販売数は、17万ケースに上る見通しだ。過去2年の平均成長率は、54%に達している。創業から間もない企業としては、驚異的な成長率のように思えるが、米国蒸留酒協議会(DISCUS)によれば、同国の高級テキーラ市場においては、これは決して驚くような数字ではないのだという。

米国のテキーラ市場では2002年以降、「スーパープレミアム」と「ハイエンド・プレミアム」カテゴリーのテキーラの売上高がそれぞれ、706%、292%の伸びを記録している。DISCUSの分類では、750 ml ボトルで45〜55ドル(5000〜6120円)のカーサミーゴスは、スーパープレミアムのカテゴリーに入る。

米国では大学生たちがお金をかけずに簡単に酔うための酒とされてきたテキーラだが、ここ15年ほどの間に、職人が造る高級蒸留酒として人気を高めるようになった。DISCUSによれば、米国内でのテキーラの販売量は昨年、前年比7.1%増を記録、過去最多に達した。2002年以降は、年平均5.8%の増加を記録している。

米国の蒸留酒市場では昨年、アイリッシュ・ウイスキーの販売量が同18%増えており、テキーラはそれに次ぐ第2位の伸び率ということになる。蒸留酒全体の販売量は昨年、前年比2.4%の増加となった。