僕は怪獣オタクだ。職場兼自宅には、自慢の怪獣フィギュアが整然と陳列されている。これまでこの趣味に投じた金額なんて、いちいち覚えていない。毎月数万円の出費が20歳ぐらいの頃から32歳の今に至るまで続いているので、とにかくたくさん使っているというだけのことだ。

しかし、世間にはこれまで趣味に投じた金額をある程度把握している人も結構いるようだ。(文:松本ミゾレ)

「もうファンを辞めてしまったので、虚しさや後悔の気持ちが大きい」

先日「ガールズちゃんねる」に「○○オタクの皆さん!今まで使った額を教えて!」なるトピックが登場した。投稿者は自称元ジャニーズオタク。コンサート代、CDにDVD、それから関連商品などに投じた金額は、ウン百万円に上っていたということだ。

それぐらい全力でオタクしていたなら、さぞ満足しているのだろうと思いきや……。「もうファンを辞めてしまったので、虚しさや後悔の気持ちが大きい」とのこと。その上で、オタクのみんなから趣味に投じた金額を聞き出そうとしているのだ。

どういう魂胆なのだろう。もしや、自分より多くのお金を使った人の書き込みを見て、少しでも虚しさを忘れたいのだろうか。元オタクの考えることは分からないものだ。

そうはいってもオタクは使ってしまう! その投資はきっと無駄ではなかったはず

さて、肝心のトピックに寄せられたコメントを見てみると、かなり濃いものが寄せられていた。

「B'z・稲葉浩志さんの大ファンで、20年経つので……CDやライブだけで400〜500万越え??  恐ろしい額だけど、後悔は全くないし、これからも追っかけます!」
「岡田准一の元ファン。LiveやらDVD.CDとかグッズやら合わせると軽く500万は超えてるはず。宮崎あおいと結婚かもという報道出てからファンでいることがあほらしくなりやめた」
「ミュージカルオタ兼ジャニオタ。遠征代なんかを含めれば1000万は軽く超えてると思う」
「エヴァヲタです。たぶん数百万は使ってる自信がある! ウチの9割はエヴァグッズである。食器から扇風機まで」

こんな具合に、やっぱりオタクともなると、簡単にミリオンを突破してしまうようだ。投資に際限がないのが重度のオタクであるので、使える金額全部注ぎ込むことが、夢中になっている間は正しい判断のように思えてしまうのだ。

中にはアイドルを応援していて、熱愛報道を受けて冷めてしまったという声もあるが、これは応援しているのも、される側も人間なのでしょうがないことだ。既に500万円は投じていたということだけど、その投資はきっと無駄ではなかったはず。どんな趣味だってどこかで「あれ?」と思うほどに興味がなくなる瞬間があるものだ。

しかしまあ、オタクの投資額公表って、自慢なのか自虐なのかよく分からないなぁ。僕自身、オタクだから数百万もの大金を注ぎ込んできたのか、数百万円という大金を注ぎ込むためにオタクをやっているのか、分からなくなる時がしばしばある。

夢から覚めたくはないものだ。