リハーサルでステージ上の巨大な日の丸を見た1号車コーイチは「お弁当みたい!」と言ったそうだ。

 ビートルズを筆頭に国内外のさまざまなアーティストたちが立ち、憧れのステージだと語られることの多い武道館でこのセリフが出てくるとは、実に食いしん坊な彼らしい。無意識に出た言葉なのだろうが、最新シングル『超ネバギバDANCE』で初のオリコンウィークリー1位を獲得し、デビュー5周年を記念した彼ら史上最大規模のツアー『Bullet Train 5th Anniversary Tour 2017「Trans NIPPON Express」』は各地公演が軒並みソールドアウト。今や“飛ぶ鳥を食べる”勢いの彼らが、この聖地をも飲み込む勢いで成長しつつあるのは間違いない。

 ツアーの追加公演であるこの日は「Super Trans NIPPON Express」と銘打ったスペシャル仕様。高さ7mのリフターに乗って登場した7人はのっけから1stアルバム『RING』収録曲「One / O Signal」を久々に披露するなど、この日は超(スーパー)演出が相次いだ。「今日は最高の1日に、スーパーな1日にしようね!」という5号車ユーキの煽りから、切なくも情熱的な「No.1」、そして“白目感電ダンス”でおなじみの「Believe×Believe」へ。そして「お楽しみは、これからだ!」というイケボな3号車リョウガのセリフをきっかけに放たれた「超えてアバンチュール」、ユーキが3連続でアクロバットをキメるなど各メンバーの自己紹介パートが長めにアレンジされた「Superstar」と、冒頭からのフルスロットルぶりはなかなかのものだ。

 同公演の見どころとして本人たちも囲み取材などで挙げていたのが、22曲30分ノンストップ(!)のスーパーメドレー。ここからは史上初の“メインダンサーバックボーカル”グループである彼らならではの構成で、曲により選抜メンバーのみ/ダンサーのみ/ボーカルのみ、という形での変幻自在なステージングを展開していく。

 例えばヒップホップ色の強い「Turn Up」で、ダンサーのユーキはバキバキなパワフル感で、2号車カイは誘うようにセクシーに……とタイプの違うソロダンスで魅了。「We Can Do It!」では、普段は“元気担当”の6号車ユースケが色気のにじみ出るようなソロを、「Beasty Spider」では4号車タクヤがアクロバティックなソロを展開。ダンサー5人の魅力を存分にアピールする内容になっていた。かと思えば、ダンサーであるカイがトロッコで会場を横断しながら曲中の長セリフのみを言って去る「LIBIDO」では、シュールな演出で会場を沸かせる。

 一方ボーカル2人は、彼らの楽曲の中ではシックなファンク・ナンバー「STYLE」を、コーイチがソロで披露。初期はコーイチにボーカルパートを譲ることが多かった7号車タカシが、伸びやかにソロで歌い上げた「refrain」でも、大きな拍手が上がった。

 この日はMVや過去のライブとは異なる番狂わせ(?)趣向のパフォーマンスも目立ち、それは彼らの遊び心や余裕を感じさせるものでもあった。「Believe×Believe」曲中では、MVとは逆にユースケがセンターのリョウガを“感電”させるシーンにニヤリとさせられる。「Shake body」では、センターのタクヤが取るバックショットのセクシーポーズ=通称“尻Beauty.”をコーイチが披露し、予想外の事態(?)に盛大な悲鳴が上がっていた。またバンパイアをモチーフにした「Bloody Night」ではセンターのリョウガではなく、リリース当時の衣装を彷彿させるマント姿のカイとタクヤが、女装したリョウガならぬリョウコの血を吸うコミカルな芝居仕立てのシーンも。そこからヅラを投げ捨てたリョウガが、本来はユーキセンターの「Beautiful Chaser」で眼光鋭いダンスソロへとモードを切り替えた辺りも、“リョウガ劇場”といった感じでお見事だった。

 山あり谷ありときどき沼ありの超ロングメドレーを終えた7人は、間髪容れずに「超ネバギバDANCE」へ。7人それぞれの見せ場があるだけでなく、5年で培ったダンスボーカルグループとしてのタフさをもアピールしたこの曲では、ユーキのアクロバットをきっかけに盛大な火花が炸裂。まさに祭り感のあるハイライトとなった。

 MCでは、ユーキがメドレー中に靴が脱げたり衣装が破れたりと“ドジっ子担当”の名に恥じないハプニングがあったことを告白し、緊迫感のあったステージが一気に和やかムードに。5年間を振り返った7人は、「最近僕らを知ったという人もずっと応援してくれている人も、好きという気持ちがあれば好きになってくれた年数は関係なく8号車。これからも、僕らと一緒に走っていきましょう」(カイ)と、それぞれペンライトが輝く客席に視線を投げかける。そして「超特急の5年分の愛を受け取ってください」というユースケの言葉からスタートしたのは、スケール感のあるバラード「Peace of LOVE」。この曲では特に、ボーカル2人のハーモニーの美しさが際立った。

 祭りはまだまだ終わらない。モノトーンの衣装に着替えた7人が繰り出したのは、アッパーな原曲をジャジーにアレンジした「バッタマン」。タクヤとユーキのスリリングなペアダンスやカイのタップダンス風のソロ、今回のツアーで導入された「デジタルポイ」(スティックライト)を使ってのジャグラー風パフォーマンスなど、大人モードで魅せる楽曲だ。前半に披露されていた、艶やかな歌声とダンスで魅せる「DJ Dominator」などもそうだが、全員が成人した今だからこそしっくりくる楽曲たちも印象的だった。初期の定番曲である「Kiss Me Baby」では、全員がシンプルな白シャツを身に纏った映像が流れ、スクリーン越しに漂う色気に圧倒される。

本編最後を飾った「gr8est journey」は、このツアーで初披露されたツアーのテーマソング的な立ち位置の楽曲。<僕らの Yeah Yeah Yeah Yeah レールの先の先まで>と歌いながら遠くを指さす7人からは、さらに大きなステージを見据えているような気概を感じた。

 超特急主催で毎日違うゲストを招く『“超”フェス』の開催や、7月期のドラマ『警視庁いきもの係』(フジテレビ系)主題歌となるニューシングル『My Buddy』のリリースが発表されたり、「超ネバギバDANCE」カップリングのパンキッシュな「PAPAPAPA JUMPERS」が初披露されたりと、アンコールはにぎやかに進行。ラストに放たれたのは彼らの主演映画『サイドライン』の主題歌「HOPE STEP JUMP」で、誰からともなく「レッツゴーバニゴーうさぎ、レッツゴー!」と映画の中の掛け声が飛び出したりと、ハイテンションのなか、約2時間41曲のステージが終了した。去り際の挨拶で、リーダーのリョウガが「武道館は通過点ですが、されど通過点です。スーパーと名のつく通り、最高の通過点になったと確信しています」と語っていたのも印象的だった。

 これまでに節目となる公演でパフォーマンスされてきた「Signal」やグループ初のオリジナル曲「No More Cry」、CDデビュー曲「TRAIN」などを除いた構成も、含みのある選曲だったかもしれない。そして、初めて5000人規模のホールに進出した2014年の国際フォーラムや、アリーナクラスへとキャパを広げた2015年の代々木第一体育館で涙を見せていた彼らは、もうそこにはいなかった。文字通りの止まらない勢いを感じさせる超特急、いよいよ目標である東京ドームが見えてきたか――。(古知屋ジュン)