来週6月最終週のドル円為替、インフレ低迷脱却の経済指標を示せるかが鍵

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1ドル111円29銭で今週の市場はクローズした。6月に入ってからの週末を振り返ってみると今週末が1番のドル高である。ただし今週の値動きは小幅だった。特に6月23日(すべて日本時間)に関してはほとんど動きがない。FRB高官のコメントはすでに動意薄になっており、インフレ低迷からの脱却を示す経済指標が手掛りとなっている。来週は月末ということもあり、多くの経済指標が発表されるため、利上げ観測の大切な材料となるだろう。

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 6月23日22:45に発表された6月製造業PMI、6月サービス業PMI共に事前予想を下回ったためにややドル売りの傾向になり、1ドル111円16銭まで下げた。直後の23:00には重要な先行指標とされる5月新築住宅販売件数が発表され、こちらは事前予想の59.0万戸、4月の59.3万戸を上回る61.3万戸であった。先日発表された5月中古住宅販売件数も予想に反して好調であり、景気動向を探るうえでは好材料が並んだ。市場はドル買いに転じて1ドル111円32銭まで戻している。ドルがもう少し伸ばしてもよさそうに思えるが、やはり先行きを考えると上値は限定的にならざるをえないのであろう。

 6月30日に発表される5月のコアPCEデフレーターは事前予想が+1.4%となっている。先月は事前予想どおりの+1.5%だった。3月は+1.6%、2月は+1.8%なだけに目標インフレ率の+2.0%からどんどん遠のいている状態だ。ここが巻き返せば年内の追加利上げのムードも再燃するだろう。しかし現状のインフレの低迷ぶりではさらにもう一回の利上げは難しい。

 6月26日には5月耐久財受注額、29日には1月から3月までのGDP確定値も発表される。イエレンFRB議長の講演も控えており、どのようなコメントになるのかに注目が集まる。イエレン議長が、現状のインフレ率への懸念や利上げに慎重な発言をすると、ドル売りの流れが加速することになる。

 来週にはヘルスケア修正法案の上院案が上院本議会で採決される見通しだ。ここが決まらない限り、大幅減税となる税制改革は先送りとなるだけに重要事項である。