アクア・Crossover(ベージュ・オプション装着車)(トヨタ自動車の発表資料より)

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 トヨタ・アクアがマイナーチェンジを行い、クロスオーバーSUVを設定。最高燃費車種は38km/Lと向上したが、メインの車種は37km/Lから34.4km/Lに悪化している。ハイブリッド小型車のアクアとしてはなんとしたことか?

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 だが、これは燃費計測の方式による境目のなす技である。10kgの車重のアップにより起きているのであり、実際には0.6km/L改善していると見てよい。ハイブリッドシステムの制御プログラム改善でなされたが、実走燃費の向上は実感するのが難しいほどの差であるはず。

■TNGAは見送り

 このマイナーチェンジは、現在プリウス・C-HR・カムリと続けて進められているTNGAの共通プラットフォームを採用している訳ではなく、これまでのプラットフォームのままでマイナーチェンジを行っている。

 近年、モデルチェンジ間隔は長くなる傾向だが、マイナーチェンジは大幅な改善が各社とも多くなってきている。それは運転支援システムなど電子制御の搭載量が増え、進歩が速く陳腐化を避けるために大きく変える必要が出てきているからだ。

 次のモデルチェンジで共通プラットフォームに切り替えコストダウンを図るのであろう。

■燃費0.6kmLの改善

 今回のマイナーチェンジで目立たないのだがハイブリッドシステムの性能向上がなされているようだ。アトキンソンサイクルをミラーサイクルで実現し「熱交換率」を40%以上にまで高めたガソリンエンジンを、さらに細かく改良してきたことが推察できる。

 JC08モード燃費の争いでは、実用にならないほど装備品を外した最軽量車種を設けて、カタログデータを上げる仕掛けが、今度もなされた。

 1.5Lエンジンはモーターと組み合わされてシステム出力100psを発揮するようだ。これを例のトヨタの誇る「電気式CVT」と称するクラッチとミッションを統合したハイブリッド・ギヤで駆動される。エンジンとモータートルクを、速度、加速度に応じて最も効率よく配合するシステムだ。

 これほどシンプルな仕掛けで高効率を実現しているので、世界は今や、このトヨタ方式との競合を避けて、PHV(プラグイン・ハイブリッド)を妙な計算方式を使って政策的に優遇し、トヨタ方式を排除しようとしている。

■注目すべきグレードはCrossover

 このマイナーチェンジでの目玉は、クロスオーバーSUV風に仕立て上げたCrossoverであろう。

 2WDで外装だけのようだが、最低地上高は170mmと10mm拡大したのが救。SUVとしてかっこよく見えるのは不思議だ。

 Crossoverにはベージュ色が用意されているが、アクアはトヨタの主力車種とは言え色の種類が多いのは、さすがトヨタと思わせる。「商売のトヨタ」は健在だ。

 マツダCX-3は後輪の突き上げ感で苦労してきたが、アクアはTNGA新プラットフォームを採用していないのだが乗ってみるとどうだろうか?小型車もスバル・インプレッサのように内装も重厚感を増している。アクアも洗練されているが、さてどのような評判となるのか楽しみにしよう。