連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第12週「内緒話と、春の風」第71回 6月23日(金)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:渡辺哲也


71話はこんな話


省吾(佐々木蔵之介)に次いで、鈴子(宮本信子)にまで、由香(島崎遥香)への使いを頼まれたみね子。
またしても感じ悪い目に合う。

「お父さん、悪魔です」


1度目は、ミックスサンドと珈琲代を払わされたので、2度目は用心して、何も注文しないみね子。
70話で由香の分まで支払わされたときの衝撃の回想で、「ミックスサンドと珈琲」というつぶやきにかすかにエコーを聞かせることで、みね子のショックの大きさが痛いほど伝わってくる。

だが、敵もさるもの。話の途中、お腹が痛くなってトイレに行く・・・と見せかけて、由香は逃亡してしまった。
「お父さん、悪魔です」
チョコレートパフェを食べてないからではなく、人生で一度も食べたことないのに、代金だけ払わされて、相当腹を立てたみね子は、薬局のマスコットいちこを思わず殴ってしまう。
でもすぐ我に返って「ごめんね、いちこ」と謝るのだった。

「嘘はダメですね、ごめんなさい」


結局、みね子が支払わされた喫茶代は、鈴子が払ってくれた。
みね子は、嘆かず、自ら、請求すればよかったのだ。
その際、みね子は鈴子に「元気でやってます、って鈴子さんに伝えてくださいって言ってました」と
つい嘘をついてしまう。でも、鈴子にはそれが嘘だと気づいているようで、「何だか私はすごく失礼でいけないことをしてしまったようで」と反省するみね子。
思いやりだと思っても、そうでもないこともある。人の心は難しい。
一方、高子(佐藤仁美)は、ついでついでと笑い飛ばしながら、「元気だそう」とミルクティーをもって来る。
励まし方もいろいろ、だ。

やっぱり悪い人ではなかった・・・


中庭で落ち込んでいると、柏木堂のヤスハル(古舘佑太郎)が由香と幼馴染で、「いいやつだよ、あいつは」と言いだして、彼が“もらいっ子”であったという衝撃の生い立ちと、由香が「弱いやつとかダメなやつのことが好きなんだ」という、これまた意外な話を、わりとさらさらと説明してしまう。
さらに、井川(やついいちろう)まで、親の顔を知らないという身の上と、そんな彼を「雇ってあげたら」と進言してくれたのも由香だったと、さらさらと説明。
由香の種明かし、早過ぎ! しかも、本人いないところで、他人に説明させてしまうとは! そんなことありか!
みね子が「鳩が豆鉄砲くらったような顔」(BY 井川)をしたように、筆者も唖然となった。
ただ、有村架純の「鳩が豆鉄砲くらったような顔」はじつにすばらしかった。男の俳優の顔芸(という言い方もなんだが)がドラマのみどころとなる昨今だが、女優で顔芸できる人はあまりいない。57話でもヘン顔を堂々と披露した有村架純は、いま、ひじょうに貴重な存在である。

「お店が終わってシェフにはじめて誘われました」


みね子のモノローグが、「ひろしです」にしか聞こえなくなってきた・・・。

省吾(佐々木蔵之介)に連れられて、バー月時計(すてきな名前!)に行くみね子。
省吾と大人の恋っていうのもあっていいのでは、などと思わせて、つづく。
でも、思わせぶって、すぐに翻すので、たぶん、何もないであろう。いえ、勝手に想像をたくましくするほうがいけないのです、はい。

この日、6月23日は沖縄慰霊の日。沖縄を舞台にした「ちゅらさん」を書いた岡田惠和ではあるが、とくにそれを思わせる描写はなかったようだとはいえ、井川が親の顔を知らないのは、戦争に関係しているのかなあとか、鈴子の机のうえにあった花福鈴は赤坂氷川神社のもので、ささやかな祈りの印なのかなあとか・・・。
ともあれ、善人しか書かない岡田惠和は、極めてピースな人だとは思う。
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