中国はすでに世界のフィンテック(金融+テクノロジー)先進国の1つであり、フィンテックが社会に急激な変化をもたらしている。中国国内では何を買うにしてもスマートフォンを使った電子決済はごく当たり前の決済方法となっており、ネット通販はもちろん、街角の屋台ですら電子決済での買い物が可能だ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国はすでに世界のフィンテック(金融+テクノロジー)先進国の1つであり、フィンテックが社会に急激な変化をもたらしている。中国国内では何を買うにしてもスマートフォンを使った電子決済はごく当たり前の決済方法となっており、ネット通販はもちろん、街角の屋台ですら電子決済での買い物が可能だ。
 
 2017年6月10日付の東方財富網によれば、中国の16年における第三者モバイル決済の市場規模は前年比3倍の38兆元(約619兆円)に達した。スマートフォンの普及とQRコードを使用した決済アプリの普及に伴い、中国ではモバイル決済市場が急激に拡大している。東方財富網は、17年の第三者モバイル決済市場は16年に比べて68%増の90兆元(約1466兆円)に達する可能性があることを伝えている。
 
 第三者モバイル決済とは、銀行以外が提供する決済モデルのうち、モバイルを通じた決済であり、中国ではIT企業が第三者モバイル決済を主導する立場にある。中国メディアの騰訊によると、中国の各銀行はフィンテックを強化するIT企業に個人向け業務を侵食されているとし、各銀行はフィンテック関連企業の勃興に警戒感を抱いている。
 
 報道によれば、中国の各銀行は現在、フィンテックどころかオンライン化を進めている段階にあるが、中国ではすでにフィンテック関連企業が急激な成長を見せており、2014年10月創業のアリババ集団傘下の螞蟻金融服務集団公司(Ant Financial)や京東金融といった企業がフィンテック業務の強化に向けて技術力の強化を行っている。
 
 アリババ集団は中国電子商取引の最大手であり、螞蟻金融は個人や中小企業に様々な金融サービスをオンラインで提供することを目的とした中国のフィンテックをリードする企業だ。同社はビッグデータを背景に少額貸付や金融商品の購入など複数の金融サービスを提供しており、中国人の生活にとってなくてはならない電子決済となったアリペイも螞蟻金融のサービスだ。
 
 螞蟻金融によれば、アリペイは「タクシーやホテル予約、映画チケットの購入、公共料金の支払い、病院の予約、振込みや資産運用商品の購入をアプリから直接行うことが可能」であり、同社はそのほかにも、「通常より高い利回りを提供するオンライン資産管理サービス」や「中小企業向けローン」、さらには「ビッグデータに基づき、個人の信用度をファイリング、スコアリング」するサービスなど、幅広い金融サービスを提供している。
 
 中国ではIT企業がフィンテックを強化し、すでに銀行が遅れを取っている状況にあるが、一部銀行大手の関係者からは「将来における金融の流れのなかで、フィンテック企業が各ユーザーを取り込み、川上を押さえてしまえば、銀行は資金を提供するだけの川下に追いやられ、競争力を失うことになりかねない」といった懸念の声もあがっている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)