非の打ちどころのない美しき人『森 星』は、モデルの自分に飽きてしまうことを焦っている!?
世界的デザイナーの森 英恵氏を祖母に持ち、10代でパリの社交界にデビュー。そんな生粋のセレブリティである森 星さんが、自身の仕事観と、意外な(!?)プライベートを語ってくれた。
「ビールがもたらす人との出会いが私の表現の幅を広げてくれる」
身長175cm。クールなキャットアイ、すらりとした手足、ほどよく引き締まったヒップ。
カメラのシャッターが切られる度にしなやかにポーズを決めていく森 星さんは掛け値なしに美しい。しかも、日本が世界に誇るファッションデザイナー、森 英恵氏の孫であり、小学校から大学まで一貫して慶應育ちだ。
「モデルは憧れの職業でした」。そう切り出す森さんの表情は、見る者を釘付けにするほどのハッピーオーラに包まれていて、育ちの良さが滲み出ている。声は上ずっていて、どことなくあどけない調子。
さっきの撮影で見せたクールビューティと比べるとあまりにギャップがあって、思わず「ズルい」とこぼしたくなるが、不思議と嫌な気分にはならない。むしろ微笑ましく思えてくる。恐らく、このあたりが、彼女が多くの人を惹きつけてやまない所以だろう。
さて、そんな森さんはこの春、25歳の誕生日を迎えた。某女性ファッション誌では、毎月、カバーガールという大役を務めるようにもなった。
表紙を飾るとなれば、今まで以上に世間の目に晒される。それについて森さんは言った、「自分は他人の目にどう映るか。森 星という存在をより客観的に捉えるようになりました」と。
その意識の芽生えは森さんに変化をもたらした。ひとつは外見のブラッシュアップについて。「もともとストイックとは無縁」という彼女が、今では多いときで週に4回もウエイトトレーニングに取り組むようになった。
「激しく自分を追い込む有酸素系のトレーニングと、パーツを部分的に鍛えるスローペースのトレーニングを組み合わせています。交互にやるのが秘訣。そしたら飽きないでしょ。飽きてやめちゃったら元も子もなくなってしまうので、とにかくバランスを保つように心がけるんです」
食事については、放っておくと大好物の缶ビールを一気に3本ぐらい飲んじゃう(!)とのことで、その分、炭水化物をセーブしたり、積極的にカラダを動かしたりすることを心掛けているという。常に“飴と鞭”の考え方で臨むバランス感が、彼女の美の秘訣だ。
「モデルとしての自分に飽きた。そう思ってしまうこともあるんです」
そして今度は「まだ誰にも話していないんですけど」とはにかみ、「実は私、自分に飽きないようにしなきゃと焦っているところなんです」と打ち明けてくれた。どういうことか。
「モデルという仕事で撮影を重ねていくうちに、カメラの前で自分を晒すことに良くも悪くも慣れてきました。物づくりってなんでもそうだと思うんですけど、受け手にフレッシュな感覚を与えるためには、作り手がスパークしていなきゃいけない」
そうでないと、すでに誰かがやった、ありがちな表現にしかならないということだ。
「私、もっと自分自身を伸ばしたいから、今、ぶち当たっているこの壁をどうにかして乗り越えたい。もがいている最中なんです。あれ、なんだか私の悩み相談みたいになってきちゃった」
そして、森さんはバツが悪そうにニッと笑った。どうやら隠し事ができない質のようだ。
「この人に喋ったら後で大事になるかも、なんて考えない。初対面でも目の前の人を信用するんです。私が信用しないと、相手も私を信用してくれないでしょ」
しかし、すぐに弱みを見せる自分を好ましく思っているわけでもなく、自分の悩みと向き合ってひとりで解決できる強い人には憧れるという。
顔つきは終始にこやかだが、語る内容は冷静そのもの。森さんは自己分析がよくできている。
考えすぎてどつぼにはまったとき、気分転換に飲むのがビールだという。先日は、「星が大好きな雑踏を味わえるから」と友人に教えてもらって都内の横丁にも行ったというのだから驚きだ。
「酒場は、お酒を飲む楽しみもあるけど、人と人との出会いをもたらしてくれるのがいいですね。そこでの刺激が、表現する活力にもなる。感性を磨くために、いろんな場所に出かけていって、いろんな人に会いたい。これが、一番やりたいことかもしれません」
今月「東京カレンダー」はビール特集を組んでいる。彼女の発言はそれを受けてのものでもあるのだが、そうした気遣いを忘れないのもまた森さんの魅力。くるくると豊かに表情を変える彼女が、5年後、10年後、どんな女性になっているか楽しみだ。
■プロフィール
もり・ひかり 1992年、東京生まれ。モデルとして資生堂「ANESSA」「INTEGRATE」の広告や数々の女性ファッション誌などで活躍。自身2冊目のスタイルブック「starlish*」も発売中
■衣装
シャツ ¥95,000、ベルト ¥66,000、スカート ¥69,000、イヤリング ¥11,000〈すべてNo21/イザ TEL:0120-135-015〉