共同通信出身で、ニューヨーク在住14年のジャーナリスト津山恵子さんが「トランプ政権とメディアの対応」と題して講演した。

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2017年6月21日、共同通信出身で、ニューヨーク在住14年のジャーナリスト津山恵子さんが「トランプ政権とメディアの対応」と題して講演した。米国では大きな所得格差により新聞や有料テレビに接する機会のない低所得層が拡大、知識格差からトランプ支持につながったと分析。多様性を尊重せず排外主義を述べるトランプ大統領の登場によって、米国社会はぎすぎすした状況に陥っていると指摘。日本人など外国人はSNSの使用を控えたり、身の安全を自己防衛せざるを得なくなったりしているという。発言要旨は次の通り。

事実を「フェイク」「印象操作」「うそつき」「魔女狩り」と断罪するトランプ大統領の特異なキャラクターには驚くばかりだ。多様性を尊重せず排外主義を述べるトランプ大統領の登場によって、米国社会はぎすぎすし分断された状況となっている。日本人と結婚した米国人はツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の使用を控え始めている。反トランプのツイートがあふれているSNS上で、不用意に「いいね」をクリックすると、それが移民局に知れてグリーンカード(労働許可証)がもらえなくなることを懸念している。また日本人の学生が暴力を振るわれる事件なども発生、外国人は駅のホームで線路側に立たないようにするなどの自己防衛策を取らざるを得ない。

米国では1990年代から所得格差が拡大。年間平均所得は16万4000ドル(約180万円)程度なので、低所得層が新聞を購読できなくなり、テレビも有料のケーブルテレビをやめ、無料のネットニュースしか読まなくなった。経済格差が知識格差を生み、それがトランプ勝利につながった。米メディアは、SNSの発達に伴う影響力低下と業績不振に陥っている。

英紙ガーディアンが米国での電子版で導入した寄付制度(サポーター=年49ポンド、パートナー=同149ポンド、パトロン=同599ポンド)は、購読料とは別に質の高いメディアを維持する試みとして注目される。エリート階層が自由な言論を支えるという理念が背景で、今のところ成功しているようだ。

米国のメディアには日米首脳会談は大きく扱われず、1行も触れないところもある。ただ日本の憲法9条の理念には関心があり、ニューヨークタイムズなどは安倍首相の9条改憲方針を疑問視しており大きく扱われる。(八牧浩行)