島津製作所は22日、ドイツの現地法人Shimadzu Europa GmbHを通じてフランスに拠点を持つ試薬メーカーのAlsachim SAS(ALC社)を買収したことを発表。ALC社は血液の成分分析などに使用される試薬の材料を合成・製造する世界有数の試薬メーカーである。

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 今回の買収により島津製作所は試薬事業のグローバルな展開につながる基盤を獲得。分析機器と試薬のセット販売により競合優位性を高め、臨床分野を中心とした質量分析事業を獲得していく。

 島津製作所が注力する液体クロマトグラフ質量分析計は、年間8%の市場拡大が期待され、中でも血中薬物モニタリングや分子診断研究、創薬開発などでの利用が注目されている。

 今回の買収により液体クロマトグラフ質量分析計に使用される試薬キットの開発・販売も手掛ける。これにより、顧客の分析目的に応じた分析機器と試薬の両方を提供することが実現。既存の分析機器の展開を加速すると同時に、試薬・消耗品を含むアフターマーケット事業にも本格的に参入する。

 今後は世界各地の主要地域においても試薬・消耗品事業の拠点を設置。試薬・消耗品ビジネスをグローバルに展開し、新たな試薬キットの開発にも注力していく。その第一歩として、欧州で医療機関が血液検査などに使用する試薬の量産体制を開始する。  島津製作所は京都府に本社を置く精密機器メーカー。分析機器、医用機器、産業機器、航空機器という4つの事業をメインとしている。医療用X装置開発や電子顕微鏡の商品化など数々の日本初、世界初の科学技術を発明してきた。またソフトレーザーによる質量分析開発においてノーベル賞を受賞した田中耕一氏がシニアフェローとして在籍していることでも有名である。  そのような島津製作所を始めとする京都老舗メーカーの哲学を成しているのが、「事業を長く続ける」ことが重要という思想である。目先の売り上げや利益に捉われず、長期的視野に立ったうえで、世界に貢献できる技術を開発することを重視。また、キャッシュフロー重視や得意分野への集中、無借金経営、水平分業というのも特徴的である。  今回の参入は、試薬事業そのものが長期的視野に立つビジネスであることから、島津製作所のビジョンと大いに合致するところがある。これまで同社はあくまでも分析機器開発・製造を中心としていただけに試薬・消耗品というアフターマーケットへの新たな参入は大きく注目される。