城田優オフィシャルサイトより

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 今月18日、俳優の城田優がツイッターに投稿したある文章が話題を呼んでいる。

〈今日、小さな子供に"外人" と言われて、驚いた。 おれが毎日のようにそう言われていたのは、今から25年ほど前の話。 これだけ時代が変わったにも関わらず、もし、未だに学校等で、ハーフの子供達が"外人"と呼ばれているのだとすると、すごく悲しいことです。 そうではないと信じたい。〉

 彼はスペイン人の母と日本人の父との間に生まれたハーフ。誰もが知る通り端正なルックスの彼だが、実は生い立ちゆえに、その外見に劣等感を抱いていた時期もあったと告白したことがある。

 2014年に『オペラ座の怪人』をミュージカル化した『ファントム』の舞台で主演を務めることになった際、城田は主人公がもつ外見へのコンプレックスを、自分の生い立ちと重ね合わせながら、このように語っていた。

「彼のもっているコンプレックスを、僕が完全に理解することなんてできないと思います。ですが同時に、容姿に関するコンプレックスを僕ほどもっていた人は周りに絶対見つからないだろうとも自信をもって言えます。なぜならみなさんは日本という国で生まれ育ち、『ほかの人たちと違う』という感覚に襲われたことはないですよね。顔がかわいいとかブスだとか、濃い薄いっていう話じゃなく、根本的に『他人と違う』。僕はスペインと日本のハーフだからこそ、それを経験してきているんです。(母の母国)スペインにいた小さいときは『チノ』という中国人を指す差別用語を浴びせられ、日本に帰ってきてからは『ガイジンだ、ガイジン』って言われてきた。いまでは僕も自分の容姿を受け入れられていますが、20歳くらいまではひどくコンプレックスだったんです」(ウェブサイト『映画.com』)

 06年にピークに達したあと、国際結婚するカップルは減少傾向にあるとはいえ、13年に国際結婚したカップルは2万組以上。婚姻数全体から見ても、30組に1組は国際結婚と、現在の日本において国際結婚はさほど珍しいものではなくなっている。

 そんな流れを受けて、現在の芸能界ではハーフやクォーターの人たちが多く活躍しているのはご存知の通り。栗原類、ユージ、ウエンツ瑛士、JOY、SHELLY、トリンドル玲奈、ダレノガレ明美、春香クリスティーン、マギー、中条あやみ、ホラン千秋、藤田ニコル、市川紗椰など、具体名をあげていけば枚挙に暇がない。

 しかし、城田の一件が象徴する通り、出自を理由にした差別やいじめは、いまでもなくなってはいないだろう。そして、そういったいじめは、欧米の白人以外をルーツとしている場合、より苛烈になる傾向がある。

●「ブサイク!」「肌の色が違う!」青山テルマが語る壮絶ないじめ体験

 トリニダード・トバゴ人の祖父をもつクォーターの青山テルマは、今年2月に放送された『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ)で、幼稚園のときに受けたいじめをこのように語っていた。

「小さいときはもう、辛かったけどね。『あの子、肌の色が違う!』みたいな。『何だ、アイツ』みたいな。『黒人だ!』みたいなとかさ。なんか、『ゴリラ! ゴリラ!』とか、超近所の子に言われたりとかさ。『テルマって黒人だから将来心配だよね』とか。『ホント、テルマちゃんってブサイクだよね』とか普通に言われてた」

 いくら幼稚園児の言葉とはいえ、これは到底許容できるものではない。傷ついた心中は察するに余りある。そういったいじめを避けるため、彼女は小学校入学にあたり、奈良の家から往復4時間もかかる大阪のインターナショナルスクールを選ぶことになるのだが、いじめられた側がそういった不便を強いられることになったのは、なんとも理不尽な話である。

 作家のサンドラ・ヘフェリン氏は、著書『ハーフが美人なんて妄想ですから!! 困った「純ジャパ」との闘いの日々』(中公新書ラクレ)のなかで、知人の体験談としてこんなエピソードを紹介している。

 外国人を母親にもつ子どもが何人か通っていたある日本の小学校でのこと。保護者がダンスなどの余興を発表することになった際、「ドイツ人のお母さんが『私、ダンスを踊ってもいいですか?』と申し出たところ、まわりのママたちから『素敵!踊りってバレエですか?』」などと盛り上がったのだが、「フィリピン人のお母さんが、『私もダンスを踊っていいですか?』と聞いたところ、お母さん方の間でシラーッとした微妙な雰囲気が流れ」、「後で『あの人、ダンスできるとか言っているけど、水商売で習ったダンスなんじゃないの』と陰口三昧だった」のだという。

 こうした「『お母さんがフィリピン人なの』と言うと、すぐに相手は『お母さんは水商売で、お父さんは元お客さんに違いない』と勝手に決め付ける風潮」に対し、著者のヘフェリン氏は「決め付けはよくないのはもちろんのこと、たとえその子のお母さんが水商売をしていたとしても、だから何?」と言う。そもそもハーフでなければ、父親と母親がどこで出会ったかなどいちいち詮索されること自体ないだろう。

●秋元才加、ざわちんは偏見を恐れ、ルーツを明かすのを躊躇していた

 こういった事情があるため、なかには自分のルーツを隠すべきどうか思い悩むケースもある。

 フィリピン出身の母親同士の仲が良かったことから高安関と幼なじみであるとの報道が出たことも記憶に新しい元AKB48の秋元才加は、著書『ありのまま。』(徳間書店)のなかで、「デビュー当時は、ハーフってことを隠したほうがいいんじゃないかと言われたことがある」と記している。

 現在はフィリピンの観光親善大使も務め、テレビ番組でフィリピンを案内するなど、自分のルーツについても積極的に語っている秋元だが、以前は「ハーフだから何がいけないの?」という思いを常に抱えていた一方で、「フィリピン人のハーフっていうと、"偏見"だったりというのもたまに。ほかの海外のハーフとはちょっと違うと思っていた」と感じていたと言う。小学校低学年のときに、「フィリピン人、フィリピン人」といじめられたこともあったそうだ。なので、心配した母親は、秋元がフィリピンで生まれたということを隠し、長い間「日本で生まれた」と話していたのだと言う。

 ものまねメイクでおなじみのざわちんも、同じような葛藤を抱えていた。彼女は、2014年9月に放送された『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS/現在は『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』に改題)で初めて母親がフィリピン人のハーフであることを告白したが、その際、日本の小学校で差別といじめを受けていたと明かし、色黒であることを理由に「ガングロ」「ヤマンバ」などといじめられた過去を語っている。

 こういう現象を見ていると、やはりこの構図は、戦前の日本から続く同質幻想や純血主義がベースにあると考えられる。もちろん、本稿冒頭で紹介した城田優のように白人系のハーフで差別やいじめを受けている人も少なくないだろうし、芸能界などで白人系のハーフをチヤホヤしているのもまた、差別感情の裏返しに過ぎないと断じざるを得ないだろう。

 前述のヘフェリン氏は、ハーフの問題を考えるとき、「日本人とは何か」が問われていると指摘する。

「片方の親が日本人で、日本語も話せ、和食や浴衣が好きで、国籍が日本、というふうに『血』『日本語能力』『国籍』『心』の面で、『日本人であること』をクリアしていても、顔が欧米人のようだと、『容姿』の壁が立ちはだかり、いつまで経っても『日本人』だと認められない」
「『日本人に見られたい』『自分は日本人』と思っているハーフにとっては、言葉、心や国籍の問題をクリアしていても、『アナタはココが『普通の日本人』とは違う』と指摘されてしまうことはつらい」

 ご存知の通り、現在日本では「在日」「帰化人」などと出自や国籍をあげつらう言説や、外国に出自をもつ者に対し「イヤなら日本から出て行け」という罵声、ヘイトスピーチが平気で飛び交っている。

 保守化がどんどん進み、排外的な考えが日本社会に広がりつつあるいま、城田が危惧しているように、出自をあげつらったいわれのない差別やいじめはこれからさらに増えていく可能性すらある。

 多様な日本人も、日本人でない人も生きやすい社会にすべく、こうした差別に我々は異議の声をあげ続けていく必要があるだろう。
(新田 樹)