ハーレーダビッドソンがドゥカティの買収を検討中…!? 米伊2大オートバイ・ブランドが統合する可能性も
米国のオートバイ・メーカー、ハーレーダビッドソンは、ライバルであるイタリアのドゥカティを買収するため入札に参加する準備をしており、オートバイ界の2大ブランドが統合されるかもしれないと、情報筋の話としてロイターが報じている。買収額は最大で17億ドル(約1,890億円)に達する見込みだという。

ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン・グループが売却準備に入っているドゥカティの入札には、ハーレーダビッドソンの他にも、インドのオートバイ・メーカーであるバジャジ・オートや、いくつかの投資ファンドが参加する予定だという。

もしこの買収が決まれば、米国のシンボルとも言える「エレクトラグライド」のようなツーリング・バイクを生産するハーレーダビッドソンと、欧州のトップ・メーカーとして高性能なバイクで名高いレースの伝統を築いてきたドゥカティが、統合されることになる。

今回の件に詳しい情報筋によると、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーに本社を構えるハーレーダビッドソンは、ゴールドマン・サックスを雇って今回の取引に臨んでいるという。なお、仮入札の締め切りは7月になるようだ。

アイコン的な「モンスター」を製造するオートバイ・メーカー、ドゥカティを現在所有するのは、フォルクスワーゲン・グループのアウディであり、同グループではこの売却に関して、投資顧問会社であるエバーコアと提携。そしてこの売却が、ディーゼル・エンジン排出ガス問題によって打撃を受けた資金面の戦略的な立て直しに役立つと考えられている。

入札過程は秘密事項のため、匿名を条件に情報筋が明かしたところによると、イタリア北部のボローニャに本拠地を置くドゥカティを欲しがっているファンドは、プライベート・エクイティ・ファンドのKKR、ベインキャピタル、ペルミラの3社だという。

ドゥカティは、真空管とラジオの部品メーカーとして1926年に設立。ボローニャの工場は第二次世界大戦中に何度か爆撃の標的になりながらも、操業を続けた。

同社のオートバイはレースで活躍し、スーパーバイク世界選手権では14度もチャンピオンに輝いている。最も活躍し貢献したライダーには、カール・フォガティやトロイ・ベイリスが挙げられる。

一方、20世紀初頭にミルウォーキーで設立されたハーレーダビッドソンは、米国の大型バイク市場の半分のシェアを占めており、米国2大オートバイ・メーカーの1つとして大不況を生き抜いてきた。

しかし、ハーレーダビッドソンの忠実な顧客層だったベビーブーム世代が高齢化したこと、さらにポラリス・インダストリーズのインディアンや、日本のホンダといったライバルたちの値下げ販売により、ハーレーのオートバイ販売台数は伸び悩んでいる。

入札の当事者たちは・・・

さらに、情報筋が明かしたところによると、エバーコアは、ドゥカティの前オーナーでもあるインベストインダストリアルを含めた、多くの売却先候補に資料を送っているようだ。

インベストインダストリアルは、経営危機が起こる前にドゥカティを買収しており、2012年にアウディに売却するまで経営権を握っていた。

そして今回、再び経営権を取り戻すため、大手プライベート・エクイティ(PE)や大企業と競い合うことにしたようだ。

なお、各社にコメントを求めたところ、フォルクスワーゲン(VW)、アウディ、ハーレーダビッドソン、KKR、ベインキャピタルはこれを断り、バジャジ・オート、インベストインダストリアル、ペルミラは、すぐに回答は出来ないとの返事だった。

欧州最大の自動車メーカーであるVWは、ディーゼル車排出ガス問題でブランド・イメージが下がり、罰金や和解金に何十億ユーロものコストが生じている現在の苦境を打破する方法を模索している。

VWのマティアス・ミュラーCEOは、昨年5億9,300万ユーロ(約737億円)の収益を上げて売れ行きが好調なドゥカティを売却することで、2012年当時に疑問視されていたフェルディナント・ピエヒ前監査役会長が行なったドゥカティ買収を、この機会に好転させようと真剣に考えている。

同社は昨年6月、資産とブランドのポートフォリオの見直しをすると言及しており、その結果、グループにとって"核ではない"ビジネスを売却しようと考えたようだ。

売却額については、VW社は14億ユーロ(約1,740億円)から15億ユーロ(約1,865億円)の間でドゥカティを売却したい意向を示している。情報筋によると、この金額はおよそ1億ユーロ(約124億円)の減価償却費を加算した減価償却前営業利益(EBITDA)の14倍から15倍に当たるという。

フォルクスワーゲンは、新規株式公開で株価収益率の30倍もの値を付けたイタリアの自動車メーカー、フェラーリと同様、ドゥカティにもそれだけの評価を反映した買収、いわゆるトロフィ・アセットを期待しているのだ。

しかし、入札する企業によっては15億ユーロもの価格は高額すぎるため、VW社は売却額を妥協せざるを得ないだろうと指摘する声も上がっている。

その高額な売却額を受けて、当初入札する意向を示していた企業の中には入札を辞退した企業も出ている。インドの大手バイクメーカー、ヒーロー・モト社とそのライバル会社であるTVSモーター社は、当初ドゥカティ買収に関心を示していたが、売却額が提示され辞退したと関係筋が伝えている。

また、メーカー関係者の話によると、BMW、ホンダ、スズキも同様に入札しない意向だという。BMWの広報担当者は、同社がドゥカティ買収に興味がないことを認めたが、ヒーロー・モト社とTVSモーター社からはすぐに回答を得られなかった。

また、VWに近い別の情報筋は、VWが適切な買い手を選定し売却交渉に時間をかけると考えられるため、ドゥカティの最終的な買収先は、11月中旬にミラノで開催されるEICMA2017(ミラノショー)より前には決まらないだろうと見ている。

注:この記事は、『Reuters』に掲載されたPamela Barbaglia記者の記事を転載したもの。

By Reuters

翻訳:日本映像翻訳アカデミー