<国家樹立宣言をした場所を自ら爆破したISISは敗北を認めたのか。それとも、モスルに捕われた住民の「人間の盾」と自爆テロで反転攻勢に出るつもりか>

テロ組織ISIS(自称イスラム国)のイラク北部モスル支配の象徴となっていた「ヌーリ・モスク」と「アル・ハドバ・ミナレット(尖塔)」が崩壊した。ヌーリ・モスクは12世紀に建てられたイラクの貨幣にも登場する文化財で、2014年7月に最高指導者のアブバクル・バグダディ容疑者がカリフ制国家(ISIS)の樹立を宣言した場所だ。

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2014年にヌーリ・モスクでスピーチするバグダディとされる人物 Social Media Website via REUTERS

アメリカ主導の有志連合は、ヌーリ・モスクは21日にISISの手によって破壊されたことを発表した。イラクも同意し、「爆破はISISが敗北を認めたのに等しい」とした。

ISISは米軍の空爆で破壊されたと声明を出したが、CNNがイラク軍から入手した夜間の映像記録からは、ヌーリ・モスクが内側から爆破されているように見える。爆発して黒煙と灰が市内を埋め尽くす前の一瞬に写っている斜めの塔がアル・ハドバ・ミナレットだ。

【参考記事】ISISの終わりが見えた

(21日、崩れ去るヌーリ・モスクとアル・ハドバ・ミナレット)(一夜明けたヌーリ・モスクとアル・ハドバ・ミナレットの破壊跡)


あと数日のうちには、イラク軍がISISからモスルを奪還するかもしれない。だが、モスルの旧市街には約10万人の市民が「人間の盾」としてISISに拘束されているとみられ、そこで激しい自爆攻撃を仕掛けてくる可能性もある。

【参考記事】ISIS「人間の盾」より恐ろしい?イラク軍によるモスル住民への報復

ISISはこれまでも、歴史的な建造物をいくつも破壊してきた。イスラム教が「偶像崇拝」を禁じていることから、神を祀る神殿などは許せないとして、考古学的に貴重な遺跡をいくつも破壊した。それが今回、ISISの「聖地」を自ら破壊しなければならなかったとすれば、皮肉だ。

イラク・ハトラ

YouTubeより


1985年、世界遺産に登録されたハトラは、2014年夏にISISに占拠され、翌年2月には完全に破壊された。

イラク・モスル博物館、モスル大学図書館

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Thaier Al-Sudani/REUTERS

ISISのモスル掌握後、収蔵されていた歴史的価値のある書物が闇市場に売り払われた。2015年2月にモスルのシンボルでもあった図書館を爆破した。

シリア・パルミラのベル神殿

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Gustau Nacarino/REUTERS

2015年8月に古代ローマ遺跡で「宝石」といわれる築2000年のベル神殿を粉々に破壊した。

【参考記事】フィリピンが東南アジアにおけるISISの拠点になる?
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ジャック・ムーア