大阪大学とマンダムが開発した汗腺の立体画像(大阪大学とマンダムの発表資料より)

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本格的な暑い夏が近づいてきたが、人間はなぜ汗を流すのか、実はよくわかっていなかったらしい。大阪大学と男性化粧品マンダムの共同研究チームは2017年6月22日、世界で初めて汗を分泌する汗腺の3次元構造の可視化に成功したと発表した。

汗腺は複雑な構造をしており、これまでは2次元画像でしか調べられなかったため、汗が出る仕組みがよくわからなかった。これでやっと熱中症など発汗による病気の解明に取り組めるという。

汗腺は糸くずが絡まるような超複雑構造

大阪大学とマンダムの共同発表資料によると、この研究は米科学誌「PLOS ONE」(電子版)の2017年6月22日号に掲載された。温暖化や超高齢社会を迎え、熱中症や汗をかきやすい多汗症の患者の増加が社会的問題となっている。ところが、汗腺が汗を出すメカニズムの解明は不十分だった。汗腺の構造が非常に複雑だったためだ。

汗腺は、非常に細くて長い1本のパイプでできている。汗を分泌する末端の部分と汗が流れる導管の部分で構成されているが、糸くずが絡まるようにコイル状に複雑に折りたたまれ、皮膚細胞の中に納まっている。しかも、このコイル状の構造自体が、さらにタオルを絞るようにねじれた立体構造になっている。そして、汗を分泌する時は、汗腺全体の塊(かたまり)が収縮し、雑巾を絞るように汗を流し出す。汗腺が収縮するときは、どの部分にどんな力が働くのか、2次元の画像では十分に分析できなかった。

そこで、研究チームは、「ホールマウント免疫染色法」という技術を使い、汗腺の構造を3次元で立体的に見ることに世界で初めて成功した(写真参照)。「ホールマウント免疫染色法」とは、ざっくりいうと、組織や器官を丸ごと染色して、細胞の空間的な分布を3次元画像に映し出す技術だ。

今回の研究成果について、研究チームは発表資料の中でこうコメントしている。「発汗時の汗腺収縮のメカニズムが解明されれば、汗腺の発汗障害にあたる熱中症や多汗症の解明や治療に貢献できるでしょう。また、次世代型の制汗剤の開発にも役立つと期待されます」