連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第12週「内緒話と、春の風」第70回 6月22日(木)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:渡辺哲也


70話はこんな話


みね子(有村架純)は、省吾(佐々木蔵之介)に頼まれ、彼の娘・由香(島崎遥香)に会いに行く。
由香はかなり感じの悪い人物だった。

「ゲゲゲの女房」にも


68話、69話と連続して視聴率が20%代だった。2回続けて20%超えは「ひよっこ」でははじめてとなる。68、69話は、アパートの中で、ご飯を食べたり、漫画家の夢の話を聞いたりする、まったりした回だった。ラーメン(食)、イケメン(竹内涼真)、漫画(朝ドラのターニングポイントである「ゲゲゲの女房」にも参加していた漫画家が今回も漫画協力していることがSNSで話題になった)・・・という要素が好まれるのだろうか。

視聴率的には苦戦している「ひよっこ」の救世主となるかもしれない、漫画家コンビ・新田(岡山天音)と坪内(浅香航大)は、みね子の無理くりなリアクションによって自信を回復し、「みね子様」と崇めだす。
いやだと言うと、今度は「みね子ちゃま」に。
「ちゃま!」と有村架純の発声が笑いを誘う。
「絶対やだ」と激しく拒絶するみね子。
ここはひとつ「みね子たん」(陸奥A 子のA子たん)はどうかと思ったが、陸奥A子はこの時代、まだデビューしていなかった。

みね子と漫画家たちのやりとりは、狭いアパート中に聞こえていたようで、早苗(シシド・カフカ)にも島谷(竹内涼真)にも「みね子様」とからかわれる。
早苗に「罪作り」と責められたみね子は、自分のしたこと(漫画が面白くないのに、面白そうに振る舞った)を反省し、島谷に「わたし、漫画わかんないし・・・」としょげる。
こういうのも、同性から見たらずるい感じするが、島谷は「あのふたりがやる気になったり自信をもったりするなら」「いいんじゃないかな」とみね子の行為を肯定する。

「やっぱり人間さあ、褒められると嬉しいし、力も出るでしょう。がんばろうと思うし、もちろん厳しいことを言われたり怒られたりして、へこたれずにがんばろうという思いも大事だけど、どっちもないとね」
さらに島谷は、彼らは、みね子が面白いと言ったことを真に受けるわけではなく、それをきっかけに頑張ろうとしているのではないかと洞察力を働かせる。
みね子は、彼のその発想に、感銘を受けるのだが、結局、それは深読みに過ぎず、漫画家コンビは完全に褒められたと思い込んでいたという「ぎゃふん」と言いたくなるオチであった。

この一連の島谷の言動は、SNSに晒されている作家の気持ちの表れのような気もしないでない。
再度引用するが、「やっぱり人間さあ、褒められると嬉しいし、力も出るでしょう。がんばろうと思うし、もちろん厳しいことを言われたり怒られたりして、へこたれずにがんばろうという思いも大事だけど、どっちもないとね」。作家は誰しもそう思っているであろう。さあ、「ひよっこ」を褒めよう。
そして、深読みし過ぎで、作り手はそこまで考えてないこともあるのだと、心得よう。
・・・というのも、深く考え過ぎかもしれないが。

ぱるる登場


気がつくと、頭良過ぎていやみな男かと思った島谷は、わずか数回のうちに、すごくいい人に思えるし、きつくてこわい人かと思った早苗も、表情が読み取りにくいが、根はいい人であったことがわかった。
とことん、善人しか出てこない「ひよっこ」だが、まさか、それは、ぱるること島崎遥香演じる牧野由香の悪人っぷりを際立たせるためなのだろうか!
……という期待と不安で、いよいよ、塩対応の女・ぱるるが登場した。視聴率の調子がいいのも、ぱるるへの期待値だったりして。

近くの喫茶店(白猫)で待っているところに、みね子が省吾に頼まれたものを届けに行くと、ひたすら感じ悪い態度を取り続ける由香。
鈴子と省吾の血縁にもかかわらず、態度も口調もメイクも、はすっぱ感ハンパない。
たぶん、お金を預かったのだろうに、ミックスサンドと珈琲代を、みね子に出させて去っていくひどい女。
「働き者って感じだね」「こういうのが良かったんだろうねえ、お父さんも鈴子さんも」と意味深な言葉を残して・・・。
このまま、唯一の、いやなキャラとして活躍するのだろうか。まだ判断できないので、牧野由香に関する考察は、もう少し後で行いたいと思う。

ところで、みね子の落ち込んだモノローグが「ひろしです」みたいだ。
(木俣冬/「みんなの朝ドラ」発売中)