「実生活でもない」というお姫様抱っこ披露

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 吉永小百合の120本目の出演作となる映画「北の桜守」の会見がこのほど、撮影現場である北海道・稚内市のオープンセットで行われた。冬、春と実施された北海道ロケも、ついにクランクアップ間近。吉永をはじめ共演の阿部寛、岸部一徳、滝田洋二郎監督らが、撮影の日々を語った。

 「おくりびと」で米アカデミー賞外国語映画賞を戴冠した名匠・滝田監督がメガホンをとる今作は、北海道を舞台にした「北の零年」(04)、「北のカナリアたち」(12)に続く“北の三部作”の最終章。戦中から戦後にかけて北の大地で懸命に生きた江蓮てつ(吉永)と、アメリカで成功をおさめ帰郷した息子・修二郎(堺雅人)の生涯を描く。

 約2カ月半を費やし湿地を埋め立てて制作されたオープンセットでは、映画の冒頭、てつの育てた桜が開花するシーンを撮影。阿部演じる夫・徳次郎が妻・てつをお姫様抱っこし、周囲の目をはばからず見つめ合うという、愛にあふれたひと幕だ。吉永と阿部は「ふしぎな岬の物語」(14)でも共演。阿部は「今日クランクインで初めて現場に来ました。本当に今日は暖かくて、佐藤浩市さんから『寒くてガタガタ震えている』と聞いていて覚悟してきたのですが、とても暖かかったです」と話しながらも、「前回は甥(おい)という役で、影を抱えた複雑な人物の役どころだったのですが、今回は吉永さんの旦那さん役というところで、格上げかなと。僕の役は最初のほうでいなくなってしまうんですが、最後の方まで影響を吉永さん、子どもたちに与えている人物という、すごく貴重な役だと思っています」と述べた。

 これを受け、吉永も「てつにとって、阿部さんの役は本当に大きな存在なんですね。なので、阿部さんにやっていただいてすごい喜んでいるんです」とニッコリ。一方で「ただ、(笑福亭)鶴瓶さんと『おとうと』をやった時に、『次は夫婦の役をやろうな』って約束をしてしまったので、今回もちょっと出ていただいてるのですが、本当はとても怒っているのではないかとちょっぴり緊張しています」と心配し、「阿部さんと素敵な夫婦関係を作っていきたいと思っています(笑)」とおどけてみせた。

 さらに吉永は、「北の三部作で共通する点」を問われ、「『北の零年』は明治維新の末期に北海道に移住してきた、淡路島の人たちの話で、『北のカナリアたち』はひとりの教え子の事件をきっかけに、何で仲間と生きていくかを見つける作品でした。今回も樺太から大変苦しいを抱えながら、何とか生きていこうという人たちの思いのこもった映画だと思います」と回答。そして「3作品を私が大好きな北海道で撮らせていただいたことは、嬉しく思います」と顔をほころばせ、稚内での思い出として「宗谷岬で日本最北端のところに立って、思いを新たにしたってことと、晴れているとサハリンも見えるんですね。ですから、こんなに近いところで日本人が住めなくて帰って来たという悲劇を改めて思います。横綱・大鵬さんが晩年よく稚内にいらして、(出生地の)サハリンを眺めて『もう一度行きたい』と言っていらしたと聞きました」と語った。

 「北の桜守」は、ほか篠原涼子、高島礼子、中村雅俊らが共演。3月10日から公開される。